2018年12月16日(日曜日)
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【論説】独裁国の残忍さを見せつけるサウジの対応

※イメージ映像

 
これぞまさに独裁国家の恐ろしさである。トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館でジャマル・カショギ氏が殺害された事件で、サウジ検察当局が11月15日、実行犯とみられる容疑者ら11人を起訴したと発表。うち犯行を指示した5被告には死刑を求刑するという。
 
一方、米国中央情報局(CIA)は、ムハンマド皇太子が記者暗殺を命じたと結論づけたと、米主要メディアが一斉に報じている。報道によると、駐米サウジ大使を務める皇太子の弟ハリド王子がカショギ氏に総領事館に行くよう求めた記録が残っている。トルコ当局は総領事館内での殺害時の音声記録を関係国に情報提供しており、CIAはこれらの音声データなどから、皇太子の暗殺命令に間違いないと判断した模様だ。
 
実に特異な事件である。本来、表に出ることがないスパイ活動の中でも、秘中の秘であるシギント(電子情報に関する諜報活動)の舞台裏が丸見えである。領事館内の会話や駐米大使の電話記録など、決定的な証拠を提示するために日常的な諜報活動が、新聞記事でも分かる事態になっている。トルコ当局が持つ音声記録は、当初報じられたカショギ氏のアップルウォッチによるものとは考えにくい。入館の段階で所持品を取り上げられているはずである。
 
それだけ決定的な証拠を突き付けられても、サウード家はムハンマド皇太子を守り抜く意思を明確にしたようだ。命令に忠実に従った部下を主犯扱いにして死刑にするという。戦時における人間の盾よりも酷い。殺人の罪状をも擦り付け、死してなお名誉をも奪う行為である。命令に従わなかった場合でも、おそらく死刑になっていたであろう。
 
独裁国家の総領事館で、上層部の関与なしに誰が殺害の暴走などできようか。独裁国家は民主国家に比べて、時に迅速な政策決定を行えるメリットもある。だが、独裁者の批判は一切許されない。北朝鮮で日々行われている粛清や中国でのウイグル・チベット弾圧、最近の言論弾圧や政敵粛清も同じ権力構造である。
 
安倍首相を「独裁者だ」と糾弾する野党議員は少なくない。その発言ができること自体が、自由な民主国家に生きている証明である。独裁国家の何たるかを知るために、こうした議員には当該国に1か月でも住んでみてほしい。国会で言葉遊びをして審議中断しているよりかは、遥かに国益に資するだろう。
 
トランプ米政権も独裁色は強いが、大統領批判は自由にできる。ロシアでもプーチン批判は自由にできる。但し、いつの間にか記者が怪死するケースが絶えない。
 
民主国家は表現の自由こそが命綱である。