2019年08月26日(月曜日)
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特定失踪者家族、初のデモ・国会要請   荒木和博(特定失踪者調査会 代表)

デモ

国会要請

集会

 
 5月24日、特定失踪者問題調査会と特定失踪者家族会では初めてデモ・国会要請を行いました。デモではご家族のみならず参加者全員が特定失踪者・拉致被害者の写真を持って、来られない家族の代わりに歩きました。また、その後星陵会館で行われた集会では冒頭壇上に参加者が集まってご家族、かけつけた国会議員とともに写真を掲げました。これらについては報道でご覧になった方も多いと思います。
 
 国会要請では自民党は古屋圭司・山谷えり子両元拉致問題担当大臣をはじめ多数の議員が参加して下さいました。立憲民主党は村上史好拉致問題対策本部事務局長、国民民主党は渡辺周拉致問題対策本部長、公明党は竹内穣拉致問題対策委員長、日本維新の会は東徹拉致問題対策本部長をはじめとして、それぞれ各党の議員が衆参の議員面会所前で要請文書を受け取って下さいました。また松原仁拉致議連幹事長は途中でデモ隊を迎えて下さいました。ちなみに、山谷議員・村上議員・渡辺議員・松原議員は私と同じく旧民社党系です。
 
 国会要請のときには議員面会所の前で支援者の皆さんらから厳しい声も飛びました。そう言いたくなる気持ちも分かったのですが、あのとき自分が一番思ったのは「野次を浴びせるのであればここに来ていない議員・政党ではないか」ということでした。そもそも拉致問題対策本部・委員会を持っていない共産党や社民党には声もかけていません。かけても来なかったでしょうが、そういう議員や政党が一番問題なのではないかと思います。今回国会要請を受けて下さった国会議員は皆それぞれの立場で拉致問題に取り組んでくれている方々です。一方で来ていない大多数の議員は拉致問題に敵対的とは言えないまでも無関心であり、だからこそ国内の状況が進展しないのだと言えます。
 
 もっとも、要請のときに握手したある議員(旧民社党系)は野次に込められた切迫した状況について「(受けている各党議員が)認識を共有してくれれば良いのだけど」と言っていました。切迫感はさらに伝える必要がありますが、とりあえずあそこで要請を受けてくれた議員にはある程度は伝わったと思います。やはり問題はそこにいなかった議員です。ともかく今回のことで安心せず、またただ「よろしくお願いします」で終わらせることなく、具体的な要望を国会を通して実現していくことが必要だと思っています。以下の要請文書をこれからどう現実化するかが問題です。読者各位のご協力をお願いします。
 
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令和元年5月24日
(各党拉致問題対策本部・対策委員会と拉致議連それぞれ宛)
特定失踪者家族会会長 大澤昭一
特定失踪者問題調査会代表 荒木和博
 
 平素の拉致問題進展に向けたご尽力に心より敬意を評します。この度は大変ご多忙な中私たちの要請を受けてくださり誠にありがとうございます。
 このようなデモ・要請を行うのは特定失踪者家族会・特定失踪者問題調査会としては初めてです。本日は午後星陵会館で集会を行いますが、特定失踪者家族が集まって訴える集会は平成22年(2010)10月以来2回目のことです。この9年間に文字通り「認定の有無にかかわらず」多数の家族が亡くなり、また生存している家族でも動けない家族が激増しています。このような集会を再度開くことはおそらくできないでしょう。意のあるところをお汲み取りくださり、ともかく1人でも、一刻も早く救出が実現するよう、ご協力をお願いする次第です。
 現在北朝鮮は飢餓状態が常態化していると言われます。拉致被害者の救出には最終的に現体制が変わることが必要であり、それは北朝鮮の人権問題解決にも重要な意味を持つと考えます。拉致被害者も含め北朝鮮にいる全ての人々が自由と平和を享受できるように、日本の主体的な役割が求められているところです。何卒ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
 
「拉致被害者救出・北朝鮮に自由と平和を」要請
 
1、安倍総理、特定失踪者家族の声を聞いて下さい
2、「拉致の可能性のある失踪者は約900人」と政府の文書に明記してください
3、在日朝鮮人も含め特定失踪者の拉致認定を進めてください
4、拉致被害者救出のために全ての手段を動員してください
 
1、安倍総理、特定失踪者家族の声を聞いて下さい
 歴代総理は誰一人として特定失踪者家族との面会の場を持ったことがありません。安倍総理も国民大集会での挨拶終了後に壇上で握手して帰るのが特定失踪者家族との唯一の接触の機会です。拉致問題について政府が明確な意志を示すため、総理と特定失踪者家族の面会が実現するようにご協力をお願いします。
 
2、「拉致の可能性のある失踪者は約900人」と政府の文書に明記してください
 政府のパンフレットには「1970年代から1980年代にかけ、多くの日本人が不自然な形で行方不明となった(中略)これらの事件の多くは北朝鮮による拉致の疑いが濃厚であることが明らかになった」と書かれています。しかし特定失踪者は60年代以前にも90年代以後にも存在します。家族会でも寺越事件は1960年代です。この記載は不適切であり、例えば「長年にわたって拉致が続けられ、拉致の可能性を排除できない失踪者は約900人にのぼる」といったように全面的な修正が必要であると考えます。
 「認定の有無にかかわらず」との方針であるにもかかわらず、広報物の記述はほとんどが認定被害者のことだけになっており、特定失踪者については「このほかにも」という、例外的扱いとなっています。これでは認定被害者の拉致事件についても「限られた時期の運の悪い人たちに起きた事件」という印象を与え、拉致問題の全体像を矮小化していると言わざるをえません。また、政府は「17人」という数字を常に使っていますが、現時点でも警察断定の高敬美・剛姉弟の拉致と富山の未遂を入れて「政府の認める拉致・拉致未遂の被害者は21人」が妥当であります。抜本的な認識の変更、内容の見直しを進めるよう国会における働きかけをよろしくお願いします。
 
3、在日朝鮮人も含め特定失踪者の拉致認定を進めてください
 先日、今回のデモ、要請や集会に合わせるかのように警察は日本国内で発見された特定失踪者について発表しました。私たちは拉致でなく日本国内で所在が確認されるならそれに勝るものはないと考えています。しかし一方、警察は「拉致でない」というケースを強調するのは熱心なのに、肝心の拉致認定は松本京子さんが平成18年(2006)11月に認定されて以来この13年間ただの1人もされていません。私たちには「認定の有無にかかわらず」との文言が逆に認定をしないための言い訳になっていると感じられます。
 警察は「北朝鮮側に反論する材料を与えることがないよう、慎重に対応している」と言いますが、青山学院大の福井義高教授も統計学による分析で「拉致濃厚な失踪者とそれ以外の失踪者を合わせて、少なくとも100人程度が北朝鮮に拉致されたことは合理的な疑いを超える事実である」と述べています。被害者が100人以上であれば、現在の「17人」との差は単なる誤差にとどまるものではなく、大幅な違いがあること自体が責任問題と言えます。
 そうでないことを期待しますが、何人かの拉致被害者も亡くなった可能性があります。救出という観点からすれば、「慎重」にやるのと多少の誤差があっても全体像に迫るのとどちらをとるべきかは明らかです。あわせて今後、認定されていない拉致被害者が北朝鮮で死亡していた場合はどの省庁の誰がどのように責任をとるのかも明確にされるよう要望します。
 また、高姉弟が警察断定なのは朝鮮籍であるためですが、母親である渡辺秀子さんは日本人です。表に出ていないだけで帰還事業で北朝鮮に渡った人々以外に在日朝鮮人で拉致された被害者も相当数いることは明らかです。調査会のリストでは在日のみならず台湾人の沈静玉さんもいます。支援法を改正するか、認定自体を別の法体系で行うなどして、日本国内から拉致された被害者については国籍の別なく対応してもらうよう要望します。
 
4、拉致被害者救出のために全ての手段を動員してください
 拉致は北朝鮮が日本に対して行なってきた主権侵害行為であり、言葉を変えれば「戦争」であると言えます。私たちはもちろん話し合いを否定するものではなく、現在総理が「条件を付けずに金正恩と会う」としていることが実を結んで被害者が全員即時一括で帰国することを期待するものですが、それができなかった場合手をこまねいて見ていることは国家としての責任放棄と言わざるを得ません。
 ストックホルム合意から既に5年、平壌宣言からは17年もの時間が過ぎています。北朝鮮にとって「約束」は相手に守らせるためのものであって自分が守るものではありません。拉致問題が安倍内閣の最重要課題であるならば被害者救出に資するすべての手段を動員するのが当然です。あらためて何ができるのかについて国会でも全面的な見直しをしていただきたくお願いします。その一環として、有事における邦人保護、あるいはその準備としての情報収集など、自衛隊に明確な任務の付与をされますようお願い申し上げます。
 また、そもそもどこまでが「拉致被害者」とされるのかも明確ではありません。拉致は北朝鮮の中でもさまざまな機関が長期にわたって行なっており、北朝鮮当局すら全てを把握していない可能性があります。前文にも記した通り、全ての拉致被害者救出のためには現在の独裁体制をより自由で民主的な体制に変える必要があります。それは北朝鮮で人権侵害に苦しんでいる一般国民を救うことでもあり、他国の拉致被害者も救い、ひいては東アジアの平和に寄与するものでもあります。そのための努力を傾注していただきますよう、あらためてお願い申し上げる次第です。
 
以上