2018年10月17日(水曜日)
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なるほど納得政経塾㉕ 「少子高齢化対策」 神奈川大学経済学部教授 経済学博士 小山和伸

 先進諸国の少子高齢化が進行している。『世界の統計』や『厚生労働白書』等の資料に基づけば、現在日本の人口1億2千8百万人の内65歳以上の高齢者人口比は23%、15歳未満の人口比は13.2%であるから、労働年齢人口比(15歳以上65歳未満)は63.8%ということになる。この日本における少子高齢化の現状は、世界的に見ても最も深刻で、高齢者人口が20%に近くかつ子供の人口比を上回っている国は、先進国ではイタリアとドイツのみである。
 
 今後この傾向は益々悪化するものと予測されており、2050年の日本では総人口9千7百万人の内、人口比38.8%に達する高齢者を、51.5%の労働年齢人口で支えなければならなくなるものと考えられている。単純に割り算すれば、1人の高齢者を1.3人の労働人口者が支えなければならない計算になる。
 
 この深刻な状況を解決する方法としては、次のような4つの方法が考えられている。第一には、出生率を増加させて高齢者人口を支える労働者人口を増してゆく方法である。第二には、高齢者を労働人口として活用し、支えられる高齢者人口を減らす方法である。第三には、外国から労働人口年齢の移民をかなり大量に導入する方法がある。さらに第四の方法として、ロボットを開発して不足する人間労働を補う方法がある。
 
 以下、これらの方法についてそれぞれ利点と欠点を検討してみよう。もちろんこれらの解決方法は、ある比率でミックスして採用することも出来る。その意味でこれら4つの方法は必ずしも互いに排除的な性質ではなく、両立可能な解決策であると言って良い。
つまり問題は、各解決策の優先順位や比重の置き方ということになる。
 
 さて第一の方法は、合計特殊出生率1.44(2016年)と、低い水準にある出生率を向上させる方法である。具体的には、政府による子供の養育費や学費の補助などが考えられるが、現在のような所得水準で補償対象者を制限しているようでは、殆ど何の効果もないに等しい。低所得を理由に1人も子供を持たない夫婦は稀で、今のような中途半端な補償では、低所得層が2人目以上の子供を持つ動機付けになる可能性は低い。しかも高額所得者は、養育費関連支出に関係なく高額納税を課され、各種の子育て支援は高額所得のために対象外とされてしまうからである。今後、実効性のある少子化対策のためのには、所得水準のみならず子供の人数に応じた、大胆な減税と補償措置を執る必要がある。
 
 ただしこの方法によって子供が増えると、戦争がなく医療の発達した現在の日本では、その増加した子供が70年後には殆どそのまま高齢者になる。するとこの増加する高齢者を支えるために、さらに子供を増やさなければならなくなるという問題が起こる。
 
 その意味では、第二の方法はよりデメリットが少ない。今の年寄りは元気で、65歳から高齢者という現在の分類も、時代遅れになっていると言える。周囲にとっても、本人にとっても、生涯現役で高齢者が活躍できる社会環境を整備することは、幸福なことであるに違いない。寝たきりになって2~3人の労働人口の介護を必要とするのと、自ら何らかの生産活動に従事して社会に貢献するのとでは、経済収支から見ても大違いである。
 
 第三の移民労働は、現在単純労働者以外の、何らかの専門性を有する職種に限って公認されている。単純労働の移民は、一般に教育レベルが低く、言葉や生活習慣などの違いにうまく順応できず、社会問題を引き起こす危険が高いという判断が、その根底にあるのかも知れない。
 
 第四の方法は、機械と人間の共存に関わる問題と言える。ただし機械と言っても、単調な作業を繰り返すいわゆる大量生産時代の機械とは違う。エレクトロニクス化された、より多彩で柔軟な対応の出来る機械である。
 
 次回は、この「移民労働VS ロボット」の問題について、詳しく考えてみよう。