2017年09月20日(水曜日)
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書評「忘却の引き揚げ史」下川正晴著 弦書房 三浦小太郎(評論家)

書評「忘却の引き揚げ史」下川正晴著 弦書房
三浦小太郎(評論家)

 本書には「引揚げ体験」という、戦後日本がごく少数の例外を除き黙殺してきた重大な歴史の闇が描き出されている。そこにはあまりにも痛ましい数々の惨劇と共に、その運命に立ち向かった多くの人々の姿も記録されている。
「引き揚げの歴史には、戦前と戦中と戦後が交錯し、加害と被害の歴史が重なる。引き揚げの歴史を検証することは、日本近現代史を国際的視野で捉え直すことにつながる。現在の日本とか世界の来歴を正確に理解することにつながる、というのが私の論点だ。」
「日本の近現代史を再考することは、大日本帝国の生成と崩壊過程、そして戦後を検証することである。旧大日本帝国の海外領土で何が起きたのか。帝国崩壊後の引揚げは、戦中戦後の国際政治とどういう関連があったのか、戦後日本人の戦争認識、世界認識にどういう影響を与えたか、を考えることだ」(「忘却の引揚げ史」以下同)
 本書で提起された問題は多岐にわたっており、とてもその全てを論じることはできないが、いくつかの論点に絞って、下川氏の問題提起をたどっていきたい。

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