2017年08月17日(木曜日)
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天皇御製に学ぶ 第二回  天智天皇御製に歌はれた日本の傳統的倫理精神

天智天皇御製
「渡津海の豐旗雲に入日さし今夜の月夜清明くこそ」

 『萬葉集』に収められたこの御製は、斉明天皇七年(六六一)、朝鮮半島からの唐新羅連合軍侵攻の危機に対処すべく、斉明天皇が軍団を率いて九州筑前朝倉宮へ赴かれる途中に、伊南野(兵庫県加古川市・明石市一帯)あたりに駐屯した時に、当時、皇太子であらせられた天智天皇が詠まれた。難波の港を出て二泊目といふ。

【渡津海】海の神。ワタは海の意。ミは神格を表す。山の神をヤマツミと言ふのに対して、海の神をワタツミと言ふ。転じて海そのものをいふ。伊耶那岐命が御祓をされた時になりませる神が綿津見神(ワタツミノカミ)である。「渡津海」といふ言葉には単に景色としての海ではなく、神秘的な海の神といふ意味がこめられてゐる。

 【豐旗雲】旗のように横に豊かに棚引く雲。長大な層積雲のことか。「豐」とは豊葦原瑞穂國・豊秋津島(日本国の別称)、豐神酒(とよみき・酒の美称)、豐明(とよのあかり・朝廷の酒宴)などといふ言葉もある通り、限り無い豊かさを表す美称。物質的な豊かさといふよりも神秘的・信仰的な豊かさを言ってゐる。

 【月夜】月のある夜といふ意ではなく、月光そのもののこと。古代は影と光は同語である。

【清明くこそ】様々な読み方があるが、「あきらけくこそ」が最も良いと思はれる。コソは「こそあらめ」を省略した語であり、「きっと~であるぞ」といふ断定的な言ひ方。「きっと清らかで明るいぞ」といふ意。

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