2017年07月22日(土曜日)
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台湾は日本の生命線 「防衛白書は中国の『台湾侵略』の野心を語れ」 永山英樹

防衛白書は中国の「台湾侵略」の野心を語れ

台湾研究フォーラム会長 永山英樹

(1)なぜ中国を「脅威」と指摘しないか

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今年の防衛白書が八月二日に公表された。現下の中国の軍事的動向にも警戒心を示す内容だが、そこには問題もあるらしい。産経新聞は翌三日の社説で、次のように指摘する。

―――警戒感の表明は当然だが、中国についても「脅威」と記すべき時期にきている。自衛隊の南西諸島防衛の一層の強化や、南シナ海の沿岸国支援への国民の理解を深める上でもそれが自然だ。
 中国には日本侵略の「能力」はあっても「意図」はないため「脅威ではない」というのが従来の政府見解だ。「脅威」は厳然と存在するのに、それを「懸念」などと言い換えるなどしてきたのは、言うまでもなく国際社会での中国脅威論の広がりを極度に恐れる中国への配慮である。防衛省も「中国を含めて特定の国を脅威としない」(中谷元防衛相)などとの見解を示して来た。

 しかしそうした政府の姿勢は、国民の正しい現状認識を妨げる一種の背信行為と言える。そしてそもそも中国が中国脅威論を嫌うのは、それがあの国の拡張政策に対する障害、抑止力になっているからであり、その抑止力を自ら放棄するかのような愚行でもある。

(2)中国軍の目的は「防衛」ではなく「侵略」

 産経社説は次のようにも書いている。

―――他にも書きぶりをわかりやすく改めた方がよい点は少なくない。中国海空軍の目的を領土、領海、領空の「防衛」と記しているが、むしろ「覇権追求、侵略の先兵」というべきだろう。国際法を無視して傍若無人に振る舞う中国に、過度の配慮は必要ない。

これにしても、まったくそのとおりなのだ。そもそも中国の言う「領土、領海、領空」には、明らかに自国の領域外のエリアも含まれているからである。あの国が「核心的利益」と位置付け、他国の干渉を排してでも奪取しようとしている領域がそれだ。

 実はそのあたりについては、防衛白書にも以下のような言及がある。

“中国はわが国や米国などに対し中国の「核心的利益」の尊重を強く求めている。「核心的利益」には「国家主権」「国家安全」「領土保全」「国家統一」「国家の政治制度と社会の安定」「経済社会の持続的発展の基本的保障」などが含まれ、特に領土については、台湾、チベット、新疆を指すほか、東シナ海や南シナ海に おける領有権などが含まれているとの指摘もある”

「との指摘もある」と付け加えるのもまた中国への「過度な配慮」なのだろう。しかし意味なき「配慮」だ。なぜなら中国は自らが台湾、チベット、新疆(東トルキスタン)、南支那海、そして尖閣諸島の領有権を主張し、それらを「核心的利益」だと位置付けているのだから。

このように、チベット、東トルキスタンを制覇した後、次なる領土拡張のターゲットとして東支那海、南支那海、そして台湾に矛先を向ける中国軍は、明らかに「覇権追求、侵略の先兵」と言えるのである。

(3)侵略目標の台湾には二千三百万人に人々が

 そしてその台湾が、中国の最も重要な侵略目標となっている。防衛白書も次のように指摘している。

“特に中国は、台湾問題を国家主権にかかわる「核心的」な問題として重視しており、軍事力の強化においても当面は台湾の独立などを阻止する能力の向上を目指しているとみられる”

“その一環でもあるが、中国は周辺地域への他国の軍事力の接近・展開を阻止し、当該地域での軍事活動を阻害する非対称的な軍事能力(いわゆる「アクセス(接近)阻止/エリア(領域)拒否」(「AAnti-Access/Area-Denial 2/AD」)能力)の強化に取り組んでいるとみられる”

“中国の軍事力強化においては、台湾問題への対処、具体的には台湾の独立及び外国軍隊による台湾の独立支援を阻止する能力の向上が、最優先の課題として念頭に置かれていると考えられる。”

同じく侵略の矛先が向けられる尖閣諸島やスプラトリー諸島などと比べて台湾が最も違う点は、そこに二千三百万人もの人々が生活しているということだろう。

要するに中国は侵略戦争の準備をしているのである。

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