2018年12月16日(日曜日)
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【論説】難民受け入れないが…いつの間にか移民大国の日本

※イメージ画像

 
移民政策は政府にとって頭の痛い問題である。治安や習慣の違いから、積極的に受け入れを支持する有権者は世論調査でもほとんどいないが、企業はいま人手不足である。
 
2008年をピークに人口減少社会に突入した日本で、2020年の東京五輪を目標に都心などのインフラ整備で建設従業員が不足しているほか、コンビニや飲食店などでの立ち仕事、介護の現場などで人材が不足している。
 
そんな状況下で政府は11月2日、出入国管理法の改正案を閣議決定した。条件次第で永住権の取得にも道を開く外国人の単純労働者の受け入れを認めたことで、「寝耳に水の移民政策だ」との指摘がメディアで噴出している。
 
安倍首相は外国人労働者を「深刻な人手不足に対応するための即戦力」であり「移民政策ではない」と強調する。移民の定義は国際的に合意されていないものの、国際連合(UN)の過去の事務総長報告書では「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人のこと(長期の移民)」としている。
 
また、世界的な人の移動の問題を専門に扱う国際機関である国際移住機関(IOM)は、移民を「国内移動を含め、自発的に他の居住地に移動すること」と定義しており、首相の認識と明らかにズレがある。
 
深刻度を増す少子高齢社会と、五輪を1年半前に控えて佳境に入った人手不足の中で企業は低賃金で雇える労働力を欲している。政府としても好況の火種を消したくないので、需給バランスに配慮して目先は来夏参院選、更には五輪に向けて景気循環のサイクルを良くしたい。こうした現状が、政府の拙速な対応を促したと推測される。
 
今回の入管法改正では、新たに農業や建設業など14業種での受け入れが検討されている。新たな在留資格に「相当程度の知識または経験を要する技能」をもつ特定技能1号と、その上の「熟練した技能」をもつ特定技能2号の2段階を導入している。1号の滞在期間は最長で通算5年、単身の出稼ぎに限るが、2号の滞在期間に上限はなく家族同伴も可能である。10年滞在すれば永住権の必要条件を1つ満たすことになる。
 
法務省によると今年6月末の統計で、在留外国人は263万7,251人。総人口1億2,659万人の約2%となっている。内訳は、永住者が75万9,139人、特別永住者が32万6,190人、留学生が32万4,245人、技能実習生が28万5,776人――。国籍・地域別では、中国が74万1,656人と最多で、韓国45万2,701人、ベトナム29万1,494人、フィリピン26万6,803人、ブラジル19万6,781人――と続く。
 
また、経済協力開発機構(OECD)の2015年統計によると、1年間で日本に移住した外国人の数は前年比約5万5,000人増の約39万人となり、加盟35か国中4位(前年5位)だった。1位はドイツの約201万6,000人、2位が米国の約105万1,000人、3位が英国の約47万9,000人で、日本は数年内に英国を抜いて3位に浮上する可能性が高い。
 
一方、難民認定については世界でも有数の受け入れ拒否国であり、昨年の難民認定は申請者1万9,628人に対し、認定者はわずか20人(ほか人道的配慮を理由に在留を認めた数45人)だった。