2018年11月17日(土曜日)
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【論説】世界の保護主義化はもう止まらない?

※イメージ画像

 
アメリカ中間選挙は、下院は民主、上院は共和が制する痛み分けのような形で決着した。数カ月前には「上下両院とも民主党が制し、ロシアゲート問題で大統領弾劾になる」とも囁かれたが、結果を見れば、有権者はトランプ大統領の仕事ぶりに思いのほか満足しているようだ。
 
トランプ氏は公約実行を強調するだけでなく、ツイッターや会見での発信力を使って、敵対する勢力を徹底攻撃し、自身の正当性を訴えるスタイルで、岩盤支持層の心をがっちりと鷲掴みにしてきた。
 
敵対勢力となったのは中国やイラン、トルコといった対立国に限らない。CNNなどの報道機関や自身が解雇した政権元幹部、オバマ前大統領ら民主党である。内外に敵だらけ、といった印象だが、敵が多いほど自身の孤軍奮闘ぶりや型破りなスタイルが強調され、既存の権力に不満が募る有権者への強いアピールになる。
 
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やパリ協定(気候変動対策の国際的枠組み)、INF(中距離核戦力全廃条約)の破棄も、そうした大衆迎合主義の延長線上で実行・宣言された。自由主義陣営である日本や欧州諸国に対しても容赦ない。一方で、金正恩・朝鮮労働党委員長やプーチン・ロシア大統領などの独裁者に対しては、時に賛辞を贈るなど戦略的なのか無鉄砲なのか分からない言動が多く、気分次第で敵味方を変えてしまう雰囲気がある。
 
こうしたスタイルが世界の保護主義の傾向を加速させており、中間選挙では共和党議員に多くのミニトランプが誕生した。海外では、ブラジルのトランプと言われる極右・社会自由党のジャイル・ボルソナロ氏が先月、決選投票の末に次期大統領となり、フィリピンのドゥテルテ、トルコのエルドアンなどと同様、強権体質の指導者がまた1人増えた。
 
政治経験のなかったトランプ氏には恩師や政党などのしがらみがない。それが自由奔放で、好き嫌いや思い込みだけの政治を可能にさせており、今回の中間選挙でもトランプ氏に歯止めをかける政治状況は生まれなかった。
 
仮に民主党がトランプ氏弾劾に舵を切ったとしても、トランプ色に染まった共和党や岩盤支持層の抵抗を受け、辞任に追い込むことは難しいだろう。ますます混沌とする世界情勢のなか、世界の保護主義化や2年後のトランプ再選だけがくっきりとした輪郭として表れてきた。