2018年11月17日(土曜日)
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【論説】古墳発掘、真実の歴史知る一助に

※発掘が始まった大山古墳(大阪府堺市)

 
考古学ファンは今、ソワソワしているかもしれない。大阪府堺市の前方後円墳「大山古墳(大仙陵古墳、仁徳天皇陵)」で、宮内庁と堺市による発掘調査が10月23日から始まり、12月上旬の終了までに新たな歴史的発見がもたらされるかもしれないからだ。
 
仁徳天皇陵として知られる同古墳は、長さ486m、幅300m、高さ34mに及ぶ日本最大の陵墓で、教科書でも御馴染みの遺跡である。国内の古墳群は主に宮内庁が管理しており、学術調査が行われているものは少なく、大山古墳も仁徳天皇の陵墓かどうかの確定はされていない。
 
これまで、宮内庁は墓の尊厳を保つ名目で調査を含めた立ち入りを一切認めてこなかった。ただ、9月に列島を襲った台風21号などの相次ぐ大型台風で、木々がなぎ倒され、適切な保存の必要性などから今回、初めて自治体との共同調査に入った。
 
といっても、前方後円墳の本体部分である中央の島、鍵穴部分には一切立ち入れない。あくまで、堀の外側にあたる三重の堀の一番内側の濠の、ごく一部のみである。
 
宮内庁が発掘を許してこなかった理由として、天皇陵は現在も続いている王朝の陵墓だからという説がある。だとすれば、天皇制が続く限り発掘調査はできず、国民の知る権利は永遠に封印されてしまう。日本の歴史の謎が解けるかもしれない各地の古墳を墓の尊厳や吉凶のために調査しないというのは、実に前近代的で保身的な発想である。宮内庁は、死者の祟りに恐れおののいた飛鳥、奈良時代と同じ発想で行政を司っているのだろうか。
 
遥か遠くエジプトで発掘作業に勤しむ日本人研究者が何人もいるのに、肝心の母国の歴史が役人や政治家の保身により立ち入ることすらできないというのは、歴史研究を放棄しているに等しい。
 
宮内庁が管理している全国の古墳群を正式に調査すれば、新たな歴史的発見がもたらされる可能性は高い。大和朝廷誕生に至る空白の4世紀に何が起こったのか。古代日本国家の誕生を知る手がかりを知ることは、我々日本人のアイデンティティを確認する上でも大きな意味のあることである。
 
今回の発掘で何か出てくれば、古墳の発掘機運は高まるかもしれない。宮内庁の人々は自分が生きている間に日本の真実の歴史を知りたいと思う素朴な探求心や好奇心は沸かないのだろうか。
 
先祖の供養と学術調査は対立するものではない。政治的立場など全く関係ない。日本人に生まれた誇りを持つからこそ、愛する国のルーツを知りたいと思うことは自然なことである。