2018年11月17日(土曜日)
ようこそ、ゲストさん。有料記事を見るにはログインが必要です。
 
 
ログイン情報を記憶

システム復旧致しました。

【論説】放されたが…テロリストだけが得をする安田氏の生き方

※「今すぐ助けてください」と訴える安田氏(動画サイト「Vimeo」から)

 
2015年6月、シリア北部で行方不明になっていたジャーナリスト安田純平氏(44)が10月25日、一時滞在していたトルコから空路で帰国した。
 
武装勢力に拘束されたとみられる映像が2016年3月と今年7月、インターネット上に公開され、自身を「名前はウマル」「韓国人だ」などと偽り、切迫した状況下で「武装勢力側の情報かく乱か」などと憶測を呼んでいた。
 
安田氏の行動を巡って、再び賛否の声が分かれている。政府が渡航自粛を求める中、「危険を承知で現地に入ったジャーナリスト」というだけであれば、同胞の無事を素直に労いたい気持ちになる。
 
しかし、安田氏は2003、04年にかけてイラクで4度も拘束され、今回は5度目の拘束である。拘束される直前にはSNSで再三、日本政府を非難していた。2015年4月には「戦場に勝手に行ったのだから自己責任、と言うからにはパスポート没収とか家族や職場に嫌がらせしたりとかで行かせないようにする日本政府を『自己責任なのだから口や手を出すな』と徹底批判しないといかん」と記した。消息を絶つ2日前の6月19日には「警察が家にまで電話かけ、即刻退避しろと言ってくる日本は世界でもまれにみるチキン国家」とツイッターで痛烈に批判している。
 
今年7月の動画では「とても酷い環境にいます。今すぐ助けてください」と話していた。日本政府は今回の救出で身代金は払っていないと言明しているが、カタール政府が3億円相当を武装勢力に払ったのではないかと言われている。解放後、安田氏は「今トルコにいて安全です。ありがとう」と語ったほか、帰りの機内で「地獄だった」「今後のことは分からない」と述べたという。
 
安田氏は一橋大学社会学部卒業後、信濃毎日新聞の記者を経て、2003年からフリージャーナリストとして、紛争地帯の現実を伝えてきた。そのジャーナリスト精神の発露は、平和や友好を愛する純粋な思いから生じるのかもしれないが、彼の言動は国内外の多くの関係者に迷惑をかけ、仮にカタール政府が身代金を払ったのであれば、テロリスト集団を利しただけの結果に終わっている。
 
彼の記事なり写真なりで真実が伝わる社会貢献とは、まるで比較にならないほど社会に迷惑をかける結果を1度ならず今回で5回ももたらしたことになる。一橋大学を卒業しているのだから偏差値の高い方なのかもしれないが、政府への罵詈雑言や平和への無邪気な考え方は、誤った戦後教育の固定観念を行動原理の軸に置いてしまった痛々しい考え方の持ち主と思わざるを得ない。
 
5回も同じことを繰り返す人物に何を言っても無駄かもしれないが、これからは「他者に迷惑をかけない」という人としての基本ルールを行動原理の軸にして、責任ある行動をしてもらいたい。