2018年11月17日(土曜日)
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【論説】サウジ領事館で殺害疑惑…身の毛もよだつ独裁国家

※イメージ画像

 
サウジアラビアの記者、ジャマル・カショギ氏が10月2日にトルコ・イスタンブールのサウジ領事館に入館後、行方不明になっている。トルコ政府は殺害の疑いがあるとして、15日に捜索した結果、館内での殺害を確証したと伝えた。
 
カショギ氏はアップルウォッチでライブ音声を録音できる状態にして入館し、拷問を受けて殺害される様子を同氏の妻がクラウド上で確認し音声が残されているとの報道がある。サウジ政府は尋問中に誤って死亡させた「事故死」と発表する予定だと複数のメディアが伝えている。
 
身の毛もよだつ恐ろしいニュースである。大使館や領事館は、外国訪問者にとって、困ったときの駆け込み寺である。パスポートを失くした時や事件に巻き込まれた時に、現地の言葉でうまく説明できなくとも、最後は国が助けてくれるからこそ、我々は安心して世界中を移動できるはずだ。
 
そんな駆け込み寺が、拷問部屋と処刑場になってしまうとしたら、故国に睨まれたが最後、逃げ場なんてどこにもなくなってしまう。カショギ氏の入館後、同館には遺体をバラバラにして運んだであろう車両や集団が確認されている。15日の捜索前にも、証拠隠滅のためなのか清掃員が入館したと伝えられている。
 
黒幕は、サルマン国王のもとで独裁を強め、カショギ氏から批判されていたムハンマド・ビン・サルマン皇太子とみられる。米国は、イランやシリアとの敵対関係から、サウジとの友好関係は強く、約12兆円の武器輸出でも合意したばかりで、対応に苦慮している。
 
世界2位の原油埋蔵量を誇り、中東の盟主として存在感際立つ同国だが、国名が示す通り、サウード家が支配する絶対君主制国家である。改革派として評価されてきたサルマン皇太子だが、一皮剥けば北朝鮮と何ら変わらぬ恐怖政治の主である。空港で異母兄を殺害したとみられる独裁者と、領事館で反体制派の記者を殺害したとみられる独裁者。どちらも許されざる犯罪行為の首謀者といっていいが、どちらも国内で無二の権力を奮い続けている。
 
人種や民族を超え、人としてあるまじき犯罪行為を等しく裁く共通ルールを、人類はいつになったら設けることができるのだろうか。