2018年09月21日(金曜日)
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【論説】自民党総裁選に見え隠れする権力の腐敗

※イメージ画像

 
安倍首相が8月26日、自民党総裁選に立候補し、石破茂氏との一騎打ちがほぼ固まった。9月7日告示(20日投開票)から始まる選挙戦だが、石破氏は「議論の場をできるだけ多くつくるのは自民党が国家、国民に果たすべき責任だ」と討論の場を多く設けるよう求めている。
 
不利な立場にある候補として、この戦略は正しいだろう。公開討論は政策が分かり易く比較できるので、有権者(党員・国会議員)の判断材料になる。安倍政権は2012年12月から5年半にわたる長期政権となり(第一次政権と合わせれば6年半)、国民の間に飽きが生じている。本来であれば、期待値が無限にある挑戦者側が圧倒的有利なタイミングだ。
 
会社や役所の人事も慣れや癒着が生じないように3年で異動するのが基本である。学校も中学・高校は3年で、大学も4年で卒業となる。米大統領は4年、仏大統領や英首相は5年、ロシアは6年が任期となっているのも、マンネリ化や独裁化を防ぐ効果を期待しているのだろう。
 
しかし今回の党総裁選は、野党のネガキャンや山積する国内外の問題にも関わらず、安倍首相が優勢を保っている。その卓越した経済や外交政策によって党内基盤を堅固にしているのに対し、石破氏の発言は野党寄りで個人攻撃に近く、期待は剥落する一方だ。
 
ただ、選挙は水物である。「圧倒的な差」と書かれるほどに有権者のバランス感覚が働く心理的作用によって、反権力のうっ憤がいつ判官びいきの国民性を刺激するとも限らない。
 
政権運営も順調に見えて、弱みもある。各国首脳との人間関係は構築されても、北朝鮮拉致問題やロシアとの北方領土問題、韓国が占領する竹島、中国の領海侵入問題など、近隣諸国との外交問題はほとんど進展していない。安倍首相はトランプ大統領とも高い信頼関係を築いているが、自由貿易交渉では対立が深まるばかりだ。
 
外交だけではない。少子高齢化、東京の一極集中、財政と社会保障の問題などなど、この5年間で深刻化した問題も少なくない。
 
党内の人間関係にも暗い影が忍び寄っている。安倍首相は26日、鹿児島県で立候補表明したが、そこで首相は「しっかり薩長で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい」とリップサービスした。石原派を安倍支持に固めた森山裕国対委員長への返礼の意があるという。
 
だが、森山氏は地元の有力企業や暴力団との癒着が何度か報じられた過去がある。鹿児島4区は地元有力者とのつながりが選挙結果に多大な影響を与える選挙区として有名だ。
 
対する石破氏の陣営はどうだろうか。参院定数6増を主導した石破氏と竹下亘氏の選挙区は、それぞれ鳥取県と島根県。参院竹下派を自陣に組み込みたかった安倍首相は、定数増に反対できなかったとみられるが、結局、竹下派は自主投票に落ち着いた。
 
明治維新を主導した山口県と、同じ中国地方で佐幕と倒幕の板挟みに悩んだ鳥取県と島根県。どちらの陣営も国民を置き去りにしたパワーゲームの中で、選挙制度を決めている。
 
自民党全体が「権力は腐敗する」罠に陥り始めているようにも見える。