2018年09月21日(金曜日)
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【論説】「正直、公正、石破茂」への強烈な違和感

出馬会見する石破茂氏(本人HP動画より)

 
石破茂衆院議員が8月10日に自由民主党総裁選の出馬会見を行った。その内容について、自民党員や評論家の間ですこぶる評判が悪い。
 
総裁選のキャッチコピーとして掲げた「正直、公正、石破茂」は、安倍政権が苦しんできた森友・加計問題を念頭に置いていることは明らかだ。ならば、そのように明言すればいいのだが、彼の口からは「正直で公正、謙虚で丁寧な政治を作りたい」としか出てこない。
 
特定の問題を意識しているとは言わないのに、暗示的に政権を批判する。森友・加計問題は1年余かけて野党が追及し、財務省の決裁文書改ざんや加計学園理事長との面会記録など、本筋には直接絡まない問題ばかり取り沙汰された。結局、国有地取引でも獣医学部新設でも安倍首相の関与を示す証拠は全く出てこなかった。
 
野党からしつこく追及され、安倍首相は「ないものを証明しろと言うのは悪魔の証明だ」と潔白を主張し続けた。審議を逃げたわけではない。忖度やお友達という言葉は、野党や朝日、毎日、東京新聞などが喧伝したものだ。
 
経済や少子化対策、働き方改革、自由貿易交渉、拉致問題など国民生活を向上させるために審議すべき課題はいくらでもある。それらを差し置いて、野党はモリカケ問題に審議時間の多くを浪費し、メディアの印象操作も加わり政権支持率も下落した。こうした偏向報道に対しては、総裁選の対立候補といえども、自民党一丸となって立ち向かうべきところを、石破氏は政権よりも野党の立場に同調しているようだ。
 
「正直、公正」というのは、民主党が1999年に使っていたキャッチコピー「すべての人に公正であるために。」とよく似ており、同党が得意としていた曖昧な理想論に逃げてレッテル貼りの印象操作で相手を貶める手法とそっくりである。偶然なのかもしれないが、石破氏が作成した背景の看板もデザインや配色が立憲民主党にそっくりだとネット上で話題だ。
 
自民党の総裁を争うのであれば、野党がしつこく追い求めるモリカケ問題などではなく、経済や憲法改正、外交方針など、党内でもはっきりとした対立軸を打ち出せる政策論争で違いを見せるべきである。その政策はと言えば、石破氏の持論である消費増税歓迎、財政規律優先の考えは国民受けが悪いからか詳細を語らない。憲法改正は優先順位が低いとして逃げ腰である。
 
自民党は1955年の結党時から憲法改正が使命であり、自主憲法制定は党是である。安倍首相が昨年5月3日に突然表明した9条2項の維持と自衛隊の存在明記について、石破氏は強烈に批判してきた。「交戦権の内容をきちんと詰めて、使えるようにすべき」と主張してきたのである。これだけ聞けば、勇ましい改憲派だと思える。ところが、出馬会見では改憲を事実上否定した。改憲派のフリをした最もタチの悪い護憲派である。
 
派閥からの支持が得られないからといってリベラル寄りの立場を鮮明にしたことで、石破氏は党員からもソッポを向かれるのではないだろうか。正直で公正だというのならば、石破氏や竹下亘氏が世論を無視してゴリ押しした参院定数6増について、きちんと説明してほしい。人口減少が続く日本でなぜ「衆院のカーボンコピー」と揶揄される参院の定数を増やす必要があったのか。石破氏の正直、公正とは、自分の味方になる鳥取県や島根県のごく身近な人々に向けた「正直、公正」であり、国民から見れば「不正直、不公正」ではないのか。
 
モリカケ問題を争点化したいのであれば、石破氏が党幹事長をしていた2012年12月、日本獣医師政治連盟から受けた100万円の献金と、その後に就任した地方創生相で、獣医学部新設に大きな壁を設けたいわゆる「石破4条件」の関連性について、正直かつ公正に説明し、国民が納得できる悪魔の証明の手本を見せてほしい。