2018年10月18日(木曜日)
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【論説】日大、ボクシング連盟…民主国家日本に巣食う独裁者

※イメージ画像

 
言論の自由がない北朝鮮や中国の粛清をニュースで聞くと、民主国家の日本に生まれて良かったと誰もが一度は思うだろう。
 
ところが昨年末頃から、大相撲の横綱暴行事件や女子レスリングのパワハラ問題、日大アメフト部の反則行為など、スポーツ組織の中での歪んだ上下関係が様々なトラブルを引き起こし、国内にも独裁者がそこら中に蔓延っていると思わざるを得ない。
 
同様の問題がまた浮き彫りになった。日本ボクシング連盟を私物化しているとされる山根明会長(78)の疑惑だ。アスリート助成金の不正流用から、試合用グローブを使った利益搾取、幹部との接待賭け麻雀といった金にまつわる汚い疑惑は枚挙にいとまがない。
 
ただ、他のトップ以上に悪質な疑惑が、審判に圧力をかけて勝敗を逆転させてしまう『奈良判定』と呼ばれるものだろう。山根氏の出身地である奈良県の選手を判定で勝たせるように優遇する、もしくは選手宣誓で「会長のおかげで……」などと会長を礼賛しないボクサーを判定で負けさせる。
 
これが本当であるならば、自分の好みだけで選手らの競技人生を捻じ曲げていたことになる。法的に罪に問われなかったとしても、道徳的には刑法の重罪犯にも匹敵するほど、許しがたい暴挙である。
 
山根氏や日大理事長の田中英寿氏(71)に共通するのは、世間が騒ぎ始めると途端に雲隠れして嵐が過ぎ去るのをじっと待ち、人々が忘れた頃に復権を狙う。表で行動せずに裏で糸を引くラスボスのイメージそのものだ。引責辞任する引き際の美学など一顧だにしない。
 
彼らの行動指針は権力と欲望だけで、他者への気配りや後進に道を譲るなどという考えが露ほどもない。典型的な老害である。スポーツや大学の世界にとどまらず、時間外労働でプライベートな時間を簒奪するブラック企業の社長も似たようなものだろう。
 
日本は上からの改革によって民主主義国家となることができた一方で、民衆の力によって独裁から主権を奪い返す試練を経たことがない。だから、組織内に我欲を貪るトップが現れたとき、周囲が協力して組織を守る集団の防衛本能がなかなか機能しない。
 
日大では理事長辞任の要望書に署名した運動部長がクビになる報復人事が始まったと聞く。北朝鮮と同じニオイのする組織が、わが国にもこれだけ沢山あるのかと思うとゾッとするし、組織外の自分でも怒りを覚える。