2018年08月16日(木曜日)
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【論説】最近の若造は…文句なしに立派です

安倍首相から国民栄誉賞の盾を授与される羽生結弦選手(首相官邸HPより)

 
平昌五輪で連覇を達成したフィギュアスケート男子の羽生結弦選手(23)が2日、官邸で国民栄誉賞の授与式に臨んだ。羽生は紋付き袴姿の正装で、安倍首相から表彰状と盾を受け取り、記念品は辞退した。記念品辞退について、「みなさまを代表してという気持ちがすごくあり、僕個人の気持ちはあまり出したくない」と説明した。
 
記念品は100万円程度に相当する伝統工芸品を授与されるのが慣例だ。羽生選手は、国民栄誉賞を授けたいとする政府関係者の厚意に応えつつ、個人としての利益は断るという、礼節と清貧を重んじた姿勢を示したといえる。
 
断るという点では、国民栄誉賞の受賞そのものを断った人々もいる。メジャーリーグで活躍するイチロー選手は、メジャー1年目でMVPなどを受賞した2001年と、メジャーの年間最多安打を記録した2004年の2回にわたって辞退。このほか、作曲家の故古関裕而氏の遺族は「亡くなったあとに授与することに意味があるのか」とし、プロ野球の福本豊氏は「そんなんもろたら立ちションでけへん」との名言を残して断っている。
 
イチロー選手は辞退の理由について、2001年に「まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」、2004年には「今の段階で国家から表彰を受けると、モチベーションが低下する」と説明した。
 
国民栄誉賞は、国威発揚に貢献した日本人を国が称える賞であり、受賞を一つのゴールと考えれば、イチロー選手のように「いただけるのなら現役を引退した時に」と考えるのも、プロとして立派な姿勢である。
 
一方、同じく現役を続けながらも国の祝意に応えつつ、記念品を辞退する羽生選手の対応も誠意を尽くした立派な考え方と言える。国内外に熱烈なファンが多いのも、たんに実力や容姿が抜群というだけではなく、こうした心の美しさが評価されているからではないだろうか。
 
今年、メジャーリーグで鮮烈な二刀流のデビューを飾った大谷翔平選手(24)も、高額報酬が期待できる名門球団からのオファーを早々に辞退し、自身が成長できる環境を最優先に考えてロサンゼルス・エンゼルス入団を決めた。
 
当代きっての若きスーパースター2人の所作を見ていると、いつの時代も年配者が言う「最近の若造は……」という言葉は当てはまらず、むしろ年長者の方が彼らに学ぶことの方が多い。