2017年08月23日(水曜日)
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南モンゴル(内モンゴル自治区)におけるジェノサイドをユネスコ記憶遺産登録へ 三浦小太郎(評論家)


南モンゴル(内モンゴル自治区)における

ジェノサイドをユネスコ記憶遺産登録へ

三浦小太郎(評論家)

 毎号、このやまと新聞紙上を借りて書評を掲載させていただいてきたが、今回だけは緊急報告として、国際的モンゴル人組織「クリルタイ(世界南モンゴル会議)が、中国の文化大革命時代においてモンゴル人に加えられた虐殺をユネスコの記憶遺産に申請、登録を目指すことが決定したこと、さらには、ここ日本で6月1日、記者会見で正式にそれが発表される予定であることをお伝えさせていただきたい。

記者会見は6月1日午後2時から、参議院議員会館B107会議室にて開催される。(連絡先080-9129-2872  daichin1966@gmail.com オルホノド・ダイチンまで)なお、この会見は報道関係のみならず、興味のある方は誰でも参加可能。

1960年代から70年代初頭にかけての中国の文化大革命時代、南モンゴルでは、モンゴル民族へのジェノサイドというべき拷問と虐殺が繰り広げられた。現在の中国政府も、文化大革命が中国全土で多くの悲劇を生んだ誤った政策であり、多数の犠牲者を出したことを公式に認め、内モンゴル大学出版社から発行された『内蒙古自治区史』(一九九一年)には、二万七千九〇〇人が殺害されたと記されている。

しかし、他の研究者によれば、逮捕されたモンゴル人は50万を超え、殺害されただけではなく、拷問を受けて釈放後死亡したり、身体障碍者になったりした犠牲者を含めれば、犠牲者は数十万人に上るという説もある。さらに重要なのは、」この殺害や拷問は、モンゴル人であること、それ自体が対象となっていた。まさにヒトラーが行ったような民族絶滅政策であった。

文化大革命当時、中国人の解放軍司令官らはこのように述べている。

「人民解放軍の趙徳栄司令官は次のように演説した。『おれはモンゴル人を見ただけで気分が悪くなる。シリンゴル盟の全モンゴル人たちをえぐり出して粛清しても、全国から見れば、ごく僅かだ。』」

「趙徳栄司令官はまた一九六八年五月に次のように政府の会議で発言した。『内モンゴルの解放軍部隊にいるモンゴル人兵士たちのなかには悪いやつが多い。政府機関にもろくなやつは一人もいない。文化大革命を利用して、モンゴル人たちをしっかりとやっつけよう』。

『 モンゴル人といえば、良いやつは一人もいないのだ。』

『モンゴル人たちを百パーセント内モンゴル人民革命党員(モンゴル民族主義派、独立派とみなされた政党、弾圧の対象となった)として粛清しても間違いではない。やつらが死んでもびっくりすることは何もない。大したことではない。モンゴル人たちが一人ずつ死んでいけば、我々は大変助かる。』」これは明らかに特定の民族を対象にしたジェノサイドの発想である。

 この発想に基づき、現地では言葉に尽くしがたい拷問や虐殺が繰り広げられた。ごく一部を挙げても「ストーブで焼く、体に電気を通す 生きたままの人間の生皮を剥ぐ 顔に字を焼き付ける 頭部に釘を打ち込む 冬に裸にしてから外で凍らせる」などがある。さらに、女性に対する性暴力、まさに「性奴隷」化としか思えない残酷な事例も事欠かないが、それは記者会見そのほかの場で発表されるはずである。

 現在の中国政府は文革の過ちを認めたとはいえ、それは「中国人(漢人)も他の民族も同じような悲劇を受けた」という視点にとどまり、明確に民族虐殺の意識が存在していたことは認めていない。だからこそ、今回、クリルタイは、隠された歴史の記録として、このモンゴルジェノサイドをユネスコ記憶遺産に登録することを目指した。ご存知のように、ユネスコは南京「虐殺」事件を記憶遺産に登録している。ここでは歴史論議はさておく。このモンゴルジェノサイドは、南京よりもはるかに確実な記録が、それこそ中国側の原子量として存在する(文化大革命当時の新聞や記録)。勇気あるモンゴル人証言者も多々存在する。静岡県立大学教授楊海英氏の著書、特に「墓標なき草原」(岩波書店)と「モンゴル人の民族自決と対日協力」(集広舎)はその最も体系的な記録である。ぜひ、この記者会見を出発点として、この現代モンゴル史の悲劇が世界の記憶としてとどめられることを祈念する。

 なお、記者会見のほかには以下のイベントがクリルタイとして企画されているので、興味のある方はぜひ参加されたい。

6月3日 南モンゴル虐殺に抗議する!6.3デモ行進 午後2時集合 2時半〜集会 3時出発集合場所 新宿柏木公園

6月4日 モンゴル人ジェノサイドの歴史と現在進行形の人権弾圧

 講演者 ショブチョード・テムチルト(クリルタイ代表)午後5時開場 5時半開会

場 所 TKPスター会議室御茶ノ水駅前 参加費 1000円

 いずれも問い合わせ先はダイチン(080-9129-2872)まで。