2018年12月16日(日曜日)
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「来訪神」無形文化遺産登録 伝統継続の後押しに

 11月29日、ユネスコの政府間委員会は「男鹿のナマハゲ」(秋田県)や「宮古島のパーントゥ」(沖縄県)など8県10行事で構成される「来訪神 仮面・仮装の神々」を無形文化遺産に登録することを全会一致で決定した。
 
 「来訪神」は季節の変わり目になると住民が異世界の神に仮装し、集落に姿を現す祭事。来訪神たちは奇声を発したり、暴れまわったりすることで悪霊を払い、集落を清める。ユネスコは来訪神の行事を「子供たちに道徳や行儀を教え、家族の絆の強化と地域の伝統への経緯を増進させる重要な役割を担っている」と評価した。
 
 今回登録された来訪神10行事は全て国の重要無形民俗文化財に指定され、保存のための取組みが成されてきた。他にも我が国では全国各地に来訪神の行事が伝承され、その数は100を超えており、それぞれが各地の自然や歴史、習慣を背景としているために同一のものは一つとしてないという。雪深い地域や離島に多く残されているのは、日本人の自然への畏敬の念の反映といえる。
 
 しかし、各地域共通の課題として、少子高齢化と過疎化による担い手の不足を抱えている。最も著名な「男鹿のナマハゲ」でさえ、平成になり30以上の集落で途絶えた。「甑島のトシドン」(鹿児島県)は人口2300人の下甑島で伝承されてきたが、昨年は6地区中4地区でしか開催できなかった。
 
 観光化に力を入れる地域もあるが、元々が人に見せるための行事ではないため、駐車場やトイレといった受け入れ態勢が整っていなかったり、暴れまわる来訪神と観光客でトラブルになったりすることもあるという。さらには地元の住民の中にも「子供が泣くから」と来訪神を迎えない世帯も増えているとされる。
 
 担い手不足は決して来訪神だけでなく、各地の伝統行事共通の課題でもある。今回の来訪神10行事の無形文化遺産登録が、国民それぞれが地域の伝統行事の魅力を見つめ直し、誇りを持って受け継いでいく契機となることを期待したい。