2018年11月17日(土曜日)
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消費税10%の衝撃を甘く見てはいけない

※イメージ画像

 
安倍首相が10月15日の臨時閣議で、来年10月1日に消費増税する方針を明示した。
 
増税の意思を明確にすることで、賛否の論議に決着をつけ、小売店等の対策を急がせる狙いがあるとみられる。おそらく、安倍首相としては、政権を分断するような懸案を早めに取り除き、改憲に向けて政府・与党を一枚岩にしたい考えがあるのだろう。
 
ただ、従来から安倍首相は「リーマンショック級の経済危機がない限り引き上げる」と繰り返しており、来年10月までに世界的な金融危機が発生すれば、三たびの延期もしくは増税廃止の可能性を否定しているわけではない。
 
政府・与党も危機感がないわけではない。増税後の買い控えを防ぐために設けた軽減税率も世論を意識した結果の産物である。それゆえに、国民の利便性を置き去りにした弥縫策そのものでもある。コンビニやスーパーのイートインスペースで購入品を飲食した場合には増税となり、持ち帰ると言えば8%に据え置くという。
 
第4の権力と言われる新聞・雑誌に対しても8%据え置きというから、納得がいかない。権力監視としての報道機関ではなく、最大の圧力機関として既得権益に与ろうとしている。そのためか、国民を混乱させることは明らかになのに、軽減税率に対する問題点を指摘する記事はかなり抑制された量と内容である。
 
こうした例外を設けることで、2%増税による税収は限定的なものとなるが、国民の心理的負担は過去2回の増税よりも大きくなると見込まれる。というのも、10%というキリ番が重要である。税率が購入価格の10分の1なので、計算が苦手な人でも瞬時に徴税額が分かる。価格が高いものほど最終的に購入を見送る可能性が高くなる。10万円の商品であれば、1万円が消費税と分かる。すぐに必要なものでなければ、衝動買いをする人は減るだろう。
 
また、3%から5%、5%から8%の時のように、小刻みな印象ではなく、二桁の税率になることで、たった2%の増税という以上の負担感を消費者にもたらす。そのインパクトは、8%になったときの1.5倍といわれる。前回増税時の消費抑制効果が8兆円とされているため、1.5倍の買い控えが生じれば、12兆円もの消費抑制をもたらすのではないかと指摘する専門家もいる。
 
こうした状況を鑑みれば、経済循環を最優先するリフレ政策を優先すべきではないだろうか。
 
消費増税の3カ月前、来年7月は東京五輪1年前となる。過去の五輪を見ると、開催1年前に大きな株価調整・暴落が起きている。10月に入ってからの米株下落で年内は株価調整が落ち着き、年末に向けて日経平均も上昇を予想するアナリストがほとんどである。中間選挙での共和党敗北を既に織り込んだとの見方もある。
 
ただ、来年の見通しは、楽観よりも悲観する専門家が多い。地政学リスクも、不確定要素の多いトランプ米大統領の存在もあって増すばかりである。“リーマン級の金融危機”だけは決して発生してほしくないが、消費増税がこのまますんなり決まってしまうのも日本経済にとってイバラの道に思える。
 
より良い状況は訪れないかもしれないが、より悪い政策を防ぐことはできる。改憲と財政健全化と景気維持の三兎を追うことは現実的に厳しい。消費増税の決断を見直すタイミングを見誤ってはならない。
 
安倍首相の巧みな手綱捌きに期待したい。