2018年11月17日(土曜日)
ようこそ、ゲストさん。有料記事を見るにはログインが必要です。
 
 
ログイン情報を記憶

システム復旧致しました。

【今更聞けない皇室の基礎知識】  村田春樹 ―旧宮家の皇族復帰は果たして可能なのか―

前号では、「昭和二十二年に臣籍降下した十一宮家の内男系男子のいる四宮家のいずれか適当な男性を当主とする新宮家を立て、悠仁親王家に男子が生まれないときに備えるしかない。」という私の理想を述べた。我が保守業界の大半の意見も同じだと思う。しかしまさに理想であり、実現となるとどうだろうか。私は残念ながら実現可能性は、確率では一万分の一だと思う。実現には乗り越えなければならない障壁が、あまりに大きくあまりに多いからである。
 
障壁の第一は世論である。平成二九年五月の、共同通信の世論調査を見よう。旧宮家復活に賛成は二二%、反対は七二%である。ほぼ同時期の朝日新聞の調査では賛成二〇%反対六七%となっている。ついでだが女系天皇・女性天皇共に賛成は五九%、女性天皇のみ賛成女系天皇反対は二七%であり、女系女性両方反対は九%である。共同通信と朝日の偏向度合を考慮にいれても、これは圧倒的である。
 
一〇年ほど前、新年一般参賀時に、「女系天皇反対女性宮家反対」のチラシを、参賀の行列の善男善女に数千枚配布したことがある。その時驚愕したのは、その善男善女の中にチラシを見て「あんた何言ってんの!男女共同参画の時代でしょ!愛子さまが天皇になってどこが悪いの!」といった罵声を浴びせてくる人が、大勢いたのである。
 
さてこれほどの世論の大差を乗り越えてまで、旧宮家を復帰させようとしたら、内閣は大変なことになる。もちろん野党やマスコミは、それこそ安保法制の何倍ものエネルギーで反対してくるであろう。
左翼はせっかく今一歩で女系女性宮家ができそうな所まで来たのに、旧皇族で男系が復帰したらたまったものではない。それこそ死力を尽くして阻止するだろう。内閣の三つや四つは吹っ飛んでしまうに違いない。これは決して悲観的な予想ではない。憲政史上最長になんなんとする安倍内閣。戦後最も改憲に熱心な安倍総理。
 
しかも安倍一強と言われるほどの政権基盤を持つ、まさに戦後最強の改憲政権といって良い。しかしこの安倍内閣をもってしても、九条の第二項だの第三項だの言っている。
 
余談だが私はよくこの九条二項三項で質問されるが、私の答えは決まっている。「憲法は三〇〇年、一行一句変わらない。そもそも靖國神社参拝すらできない政権に、憲法改正などできるわけがない。」
 
さて、これだけの反対を押し切って、内閣の命運をかけて、いったい誰が火中の栗を拾うのか。拾うわけがないではないか。法案を考える第一前提の俎上にすら乗るわけがない。
 
第二の障壁は憲法第一四条である。
 
日本国憲法第一四条
1「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」 2「華族その他の貴族の制度は、これを認めない。」
 
これをクリアしなくてはならない。日本国憲法下で生まれた平民をいきなり皇族に戻す。いや、戻すのではない。皇族だった方は殆ど全て他界してしまっている。現存する方はその子孫であり一度も皇族だったことがない方、言い換えれば生まれながらの平民である。
 
第三の障壁は、その血統があまりに遠いことである。歴史上最も血統の遠い(離れている)皇位継承でも、せいぜい一〇親等である。もし現在の皇統を旧宮家の伏見宮系統が嗣ぐとなると、三〇数親等離れているという。そこまでを親戚血縁というのは、国民の理解が得られないのではないだろうか。(続く)