2017年07月26日(水曜日)
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教育の窓「教育職能団体の結成は急務である」【改訂版】 元参議院議員/教育評論家 小林 正

 1,明年6月、日教組は組織結成70年を迎える。教職員の政治的・経済的・社会的地位の向上を目指し、倫理綱領では「教師は労働者である」と規定した。

文部省の教職員団体調査が始まった昭和33年の日教組組織率は86,3%とほぼ教職員全体が日教組組合員となっていた。

平成4年3月の臨時大会では規約を改正し、規約から「争議行為」の項目を削除した。これは法人格付与上の「混合連合団体」としての要件を充たすための措置で、平成9年3月、法務局に登記し法人格を取得した。以後日教組指令に基づく争議行為は行われていない。

なお、昭和41年以降同63年までの23年間、日教組、日高教左派が行った統一ストは35回に及び、参加教職員数は延べ682万人にのぼった。このうち地公法上の懲戒処分者は84万人に及んだ。この結果、平成27年10月現在、日教組の加入者数は教職員全体で前年比5585人減の24万7101人。加入率も0,5ポイント低下し24,2%となっている。

今日、争議行為は行わないものの、「平和・安保法制反対」などの政治闘争では国会周辺でのデモ・座り込みに全国動員をかけ、大衆行動で中核的な役割を果たしている。

日教組70年が語るのは教育現場を「不当に支配」し闘争に明け暮れた歴史と言えよう。現在でも国旗掲揚・国歌斉唱については「強制には反対」と言いつつ実質的に反対闘争が底流にある。さらに学習指導要領改訂によって、「特別の教科 道徳」が実施段階を迎えているが「価値観の押し付け」反対の方針のもと、「平和・人権」教育を対置して抵抗闘争を行っている。

2,11月3日産経1面に「日教組委員長辞任へ」の見出しで、週刊誌報道で引責辞任をせざるを得なくなった経過について報じている。かって地公法違反のストを扇動したとして執行委員長が刑事責任を問われ新聞が報道したことはあったが、週刊誌記事の内容は不倫と組合費の私的流用というスキャンダルそのものである。教職員団体の中でも組織率が最も高い組織の指導者が自らの破廉恥行為で辞職に追い込まれるというのは前代未聞のことである。執行委員長に就任して七か月、反国家的な権力も独裁になれば腐敗すると言う事例だろうか。これは日教組の存在理由、組織の正当性が問われる大事件である。にも拘らず、一部メディアのみが報道し、他の大手メディアがこの問題を取り上げて来なかった。日教組は11月30日、JTU NEWS 2016で中央執行委員長辞意表明について報じている。「一連の報道によって、組合員や関係団体に対して心配や不信感を抱かせたことは、日本教職員組合の中央執行委員長としてあってはならないことです。(略)これまで組合員をはじめ、多くのみなさんからたくさんのご意見をいただきました。これらのご意見を受け止め、組織運営、並びに信用回復に努めてまいります。全国の教職員をはじめとする教育関係者、子どもたち、保護者、連合に結集する仲間のみなさんに不信感を抱かせたことを深くお詫び申し上げます」としている。スキャンダルの発覚直後から、日教組は委員長の動向を誰がチクったのかの犯人捜しに汲汲としていた。これによって、日教組執行部に自浄能力があるとは到底思えない。

3,文科省の統計によれば、昨年10月現在で教職員団体への加入状況は全体で

37万人余で加入率は36,3%となっている。一方、どの組織にも加入していない教職員は64万9千人余で非加入率は63,7%に達している。

教育職については「聖職」、「教育労働者」など論議がなされたが、今日では「教育専門職」として定着してきていると思う。教育基本法第9条は教員について

「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」としている。その職責の遂行のためには、絶えざる研究と修養が必要だとしている。

戦後教育改革に主導的な役割を果たした教育刷新委員会は当時、教員の身分と専門性を重視し全国的な職能団体の結成を建議している。これは後に教員の身分が地方公務員という身分に定められたこととユニオンとしての日教組の圧倒的な影響力で立ち消えとなった。

今日の日教組の現状及び非加入の教職員が三分の二という状況を考慮すれば、専門性を磨くための全国組織の結成の必要性は高まっていると思う。医師や弁護士など専門性を有する職業はそれぞれ全国組織を持っているのである。

我が国の近代教育は明治5年の公布の「学制」により開始された。文部省は平成4年「学制百二十年史」を刊行した。これにならえば、平成34年、我が国近代教育は「学制百五十年」を迎えることになる。この事業の一環として教育職能団体の結成を目指すべきであると思う。

小林正(こばやし・ただし)
昭和八年生まれ、東京都出身。横浜国大哲学倫理科卒。公立学校教諭、神奈川県教職員組合執行委員長、参議院議員一期。自主憲法制定国民会議理事。全国教育問題協議会顧問。教育再生機構顧問。