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【教育の窓】 「改めて『教育の政治的中立性』を問う」 元参議院議員/教育評論家 小林 正 

1,第24回参議院選挙では選挙権年齢が18歳に引き下げられ、新有権者240万人(有権者全体の2%)の投票行動が注目された。既に明らかにされているように、20歳未満の投票率は、18歳では51%(男49%,女53%)、19歳では39%(男37%,女47%)、新有権者の投票率は45% (男43%,女47%)で、全体の投票率54%を下回った。因みに共同通信の出口調査によれば、自民党に投票した人は10代で40%、20代で43,2%、30代で40,9%などとなっている。

2,選挙権年齢の18歳への引き下げは、国会における憲法調査会が役割を終え、憲法改正への具体的な審議を行う場として憲法審査会が両院に設置される経過において、各党間で三つの宿題として確認された一項目として取り上げられ、今回実施されたものである。この間の論議において、先進諸国の選挙権年齢が18歳であることが挙げられていた。

各国では、18歳年齢に対して、徴兵制など国に対する義務が先行しており、それに付随する権利として参政権を付与することとした経緯がある。我が国においては、民法、少年法等においては未成年として、権利行使の主体というよりは保護の対象であった。これらの未整理の課題を残したまま、参政権付与のみが先行した。

残された宿題の二つ目は公務員が憲法改正の国民投票において賛否の何れかの立場から、身分の制約なく活動することが認められるか否かという問題である。三つめは国民投票は憲法改正に限ってのものか、その他の国政上の重要課題に拡大すべきか。この二つの宿題については手が付けられていない。

思うに、三つの宿題を吟味してみれば、憲法審査会への移行を急いだ自民党の野党(民主党)への大幅な妥協、それも悔いを残すものだったと思う。国民投票の拡大は間接民主制の原則と相容れないし、公務員の政治活動に道を開くものとなるなど、「宿題」には野党側の罠が透けて見える。

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