「力無き正義は無力なり」 野伏 翔


「力無き正義は無力なり」

野伏 翔

 

 4月18日に来日したアメリカのペンス副大統領は、安倍首相との会談の後の記者会見で「平和は力によってのみ達成される」と言い放った。ニコリともしないペンス氏は、現代の日本人にはなじみの薄い「非常時」の気配を漂わせていた。彼の言う「力=FORCE」とは軍事力の意味に他ならず、これまで「軍事」と「平和」とを、対立する概念としか捉えてこなかった我が国マスコミ人にとっては、ショッキングな一言であったようだ。にも拘わらず私がテレビで見た限りでは、誰もこの言葉を正面から全否定はしていない様子である。誰もがこの言葉の中にある真実を、いやいやながらも認めざるを得ないからであろう。

「平和は力によってのみ達成される」・・・第二次大戦の敗北以降、まれにみる平和を享受してきた多くの日本人にとっては抵抗のある言葉であろう。しかし戦後長きに亘る日本の平和とて、特攻攻撃に代表される日本軍人と一億国民の玉砕を覚悟した奮戦に、恐れと畏敬の念を抱いた戦勝国の宥和政策により得たものである。ペリーの砲艦外交に開国を決意し、明治から昭和にかけて、清、ロシア、アメリカ、シナ、イギリス、オランダという世界の強国と戦い抜いてきた「力」が全く無かったとしたら、日本人もオーストラリアのアボリジニと同じように、狩猟動物の代わりに白人たちのハンティングの獲物になっていたかもしれない。