2017年07月26日(水曜日)
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書評 「北の喜怒哀楽 45年間を北朝鮮で暮らして」 木下公勝著 高木書房 三浦小太郎(評論家)

 

 kinosita

 1959年に始まった、北朝鮮「帰国」事業で、日本から北朝鮮に、約9万3千人の在日朝鮮人が渡っていった。その中には、朝鮮人と結婚した日本人配偶者たち(ほとんどは女性の日本人妻)が含まれている。当時、朝鮮総連は、北朝鮮を、社会主義の発展する祖国、福祉が行き届き、差別もなく貧しい人々も無償で教育も医療も受けられる「地上の楽園」と宣伝しており、朝日新聞から産経新聞に至る左右のマスコミもそれに基づいた報道を行っていた。彼らは自己の選択とはいえ、事実上、虚偽宣伝に騙されて海を渡り、そこが「地上の楽園」どころか「凍土の収容所共和国」であることに気づくことになった。

 90年代、一説では300万人が餓死したといわれる北朝鮮飢餓の時代、飢えと抑圧に耐えかねた人々は生きるために中朝国境を渡った。残してきた家族のために、中国で多少の金銭を稼いで再び北朝鮮に戻ったものもいるが、約2万数千人が現在までに韓国に亡命している。そして、ここ日本には、かって帰国者として北朝鮮に渡った人々、もしくはその子孫、約200名が現在定住している。本書はその一人、木下公勝による、北朝鮮での45年間の生活とそこでの体験をまとめたものであり、現代詩の貴重なドキュメントとなっている。

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