2020年04月06日(月曜日)
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【緊急報告】  「新しい歴史教科書」不合格の狙いとは   皿木喜久(新しい歴史教科書をつくる会副会長) 

 新聞などで既報のように、「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する「新しい歴史教科書」(自由社)は、文科省の検定で、著者側の反論を一切認めないという形で「一発不合格」となった。

かつて「つくる会」を厳しく批判してきた朝日新聞でさえ「過去に合格した教科書が不合格となるのは極めて異例」(2月22日付朝刊)と、首をかしげるほど驚きの結果だった。だがもっと驚いたのは、四百五カ所にも上った「欠陥」の多くが、「生徒を誤解させる」などとして、ほとんど理解に苦しむような理由をつけられていたことだ。

例えば第4章の「岩倉使節団と征韓論」という単元で、西南戦争について述べた本文である。そこに「反乱軍は徴兵制による政府軍に敗れ、西郷(隆盛)が戦死して戦いは終わりました」と書いたのだが、この「戦死」という表現に対し「生徒が誤解するおそれがある」という指摘がついた

確かに西郷の最期については「自害」説もある。しかし最近の江藤淳氏『南洲残影』などによれば、西郷は周囲の「切腹」を勧める周囲の声に逆らい、政府軍に突入、銃弾を受けて倒れ、最終的に側近に首を落させた。「戦死」説が大勢であり、何が「誤解」させるのかわからない。

しかも自由社側の反論も「一般的にイメージする『戦死』とは異なる」として却下しており、なぜ「戦死」がいけないのかさっぱりわからない、調査官の「イメージ」だけによる主観的な指摘であることがわかる。

どうやら検定にあたった調査官は、西郷を「必要以上に大きく」扱っている、判断したようだ。確かにこの教科書は明治新政府の中での西郷の存在に、かなりの行数を費やしている。しかも西郷の唱えたとされる「征韓論」についても「決死の覚悟の交渉によって、朝鮮に門戸を開かせようと考えていました」と、最近の学説による見方を示した

だが「征韓論」で韓国などに忖度したのかはわからないが、「戦死」と書くことで、生徒が西郷を英雄視することを避けたかったのでは、と思わせる。

西郷だけではない。聖徳太子、坂本龍馬ら歴史好きの日本人に人気の高い人物や「古事記」を蘇らせ、古代の日本人の心を探ろうとした本居宣長らの記述に対しても、ほとんど意味不明なクレームをつけて「欠陥箇所」に認定、こうした人物を歴史上から「抹殺」しようとしているかにみえる。

今回の「新しい歴史教科書」不合格は、こうした人物を取り上げることで、日本人の誇りを取り戻そうとしてきた「つくる会」などによる歴史観見直し運動に敵対しようという動きが。顕在化してきた結果だといえる。