2019年05月25日(土曜日)
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【マリの喫茶室(29)】 ― 三つ子の魂 ―

 三つ子の魂100まで、というが、幼い日の体験が性格を決めるのは、人間だけでなく動物も同じだと思う。
 
【ペットショップの売れ残り犬だいちゃん】
 
 トイプードルの大ちゃんは、ペットショップの売れ残り犬である。大ちゃんは、生後6か月になったが売れないまま、ずっとペットショップの狭くて丸見えのガラスケースの中に閉じ込められていた。そして、自分をここから救い出し、外の世界に連れて行ってくれる人をずっと待っていた。1日1回、ガラスケースから出され、サークルの中に入る時は、精一杯の愛想を振りまいていた。でも目がとても悲しそうで、友人はいつもその犬が気になってきた。ほかの子犬たちはどんどん売れていくが、その犬は値下げしても売れないまま、いつ行っても店にいた。このままでは、殺処分されてしまうかもしれない。
 
 ある日、目が合ったので、友人はついにその犬を買った。大きくなりすぎていたので、「大ちゃん」と名前をつけ、かわいがった。大ちゃんはとても人懐こい犬で、散歩に行っても、知らない人にも愛想をふりまく。きっと、ずっとペットショップにいたから、人が好きになったのか、それとも人に捨てられるのが怖くて媚びているのか、それは分からない。
 
【ブリーダーに捨てられたゴールデンリトリバー】
 
 性格が穏やかな大型犬のリトリバーが人気だった頃、ブリーダーはこぞってゴールデンリトリバーやラブラドールリトリバーを育てた。ゴールデンのベティも、人気犬種として引手あまたのはずだった。しかし、ベティはなぜか売れなかった。ごくつぶしのベティの価値を上げるため、ブリーダーはベティを1年間訓練所に入れ、しつけを行った。ベティは、訓練所で他の犬にいじめられ、相当辛い思いをしたらしい。
 
 そして、1歳を過ぎたベティを知人は買った。外国では手がかかる子犬より、訓練された成犬が人気らしい。友人は働いていたので、手がかからない犬を望んだ。ベティは、自分を救ってくれた友人にものすごく感謝していて、とても従順だった。普通の犬がするような靴をかむとか、そういった悪戯は一切しなかった。でも、いつもおどおどしていて、上目遣いに人を見上げていた。13歳で癌で死ぬまで、ベティはずっと無駄吠えも悪戯もしないいい子だったが、いつもおどおどしていた。
 
【天真爛漫なマリ】
 
 子どもの時、十分な愛情をもらえないと、捨てられるのが怖くてとても人懐こかったり、あるいはおどおどしたり、又はとても攻撃的になったりする。三つ子の魂100までというが、動物も同じである。
 
 逆に、そうした辛い幼児体験がなく、天真爛漫に育ったのがウサギのマリである。マリは、ペットショップで2か月間お母さんと姉妹と暮らし、解禁後すぐに我が家にやってきた。
 
 マリは、いつも十分な餌を与えられていた。ティモシーだけでなく、リンゴやキャベツ、にんじんといった野菜も毎日食べられる。兄弟がいないので、競争もない。ケージはあるが、水を飲むときだけ入り、普段は家の中を自由に歩きまわり、お気に入りの場所で昼寝をした。
 
 マリは、自由と安全があるのは当たり前だと思っている。捨てられる心配などしたことはなく、いくら悪戯をしても許されるので、天真爛漫、自由気まま、ストレスフリーに生きてきた。だからこそ、ウサギの平均的寿命を超えて8歳半になっても元気いっぱいなのだと思う。
 
 何をしても許されてきたせいか、これまでたくさんの悪戯をしてきた。コードかじり、柱かじり、畳かじり、etc.
 
 そして、今、気に入っているのがクロスかじりである。最近私は、引っ越しをした。中古マンションだが、せめてクロスくらいは新しくしよう思い、クロスは全部張替えた。にもかかわらず、そのクロスをマリがあちこちかじってしまい、我が家は一気にとてもみずぼらしくなった。
 
 最初は、やめさせようとしたが、クロスは家中あるので、本気でやめさせるためには、ケージに閉じ込めるしかない。しかし、そんなことをしたら、今まで家の中で自由に暮らしてきたマリがストレスフルになってしまう。運動不足で足腰も弱る。そうなると病気になって、かえって医療費がかかってしまう。(この前、子宮を切除したときも18万円くらいかかった。)
 
 マリがのびのびとクロスをかじっているのは、幸せウサギの証である。あーあと思うのだが、マリが楽しいならそれでいいかーとみずぼらしくなったクロスをあきらめ顔で眺めている。
 

(クロスをかじるマリ)