2018年12月16日(日曜日)
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入管法を改正する前に   新しい歴史教科書をつくる会  埼玉県支部長 篠原寿一

 急速な少子高齢化に伴う深刻な人手不足を一時的に解消することが目的なのか、わけの分からないうちに就労外国人受け入れ拡大を目指す「入管法」改正案が衆議院を通過し、審議は参議院に移った。
確かに肉体労働やサービス業界での人手不足が深刻なのは分かるが、それを安易に外国人に頼るだけでよいのか。日本人の若者はこれらの仕事に向いていないのか。彼らのことをどの程度理解した上でこのような方策に舵を切ろうとしているのだろうか。
 
 私は、この10年ほど地元の中学校で勉強を教えるボランティアをしてきた。具体的には中間試験や期末試験の直前2日間、約1時間ではあるが数学や英語の勉強の仕方や分からない問題について個別指導をする。また、数年前には9月から翌年3月までの半年間、1学年全3クラスすべての数学の授業に立ち合い、練習問題の分からない生徒に個別指導をした。日によって異なるが、同じボランティア2~3名と一緒にした。
 それらの経験を通じて、同じ中学生でも学力に大きな差があることを実感した。数学の授業についていえば、一部の出来る生徒は、授業とは関係なく塾の問題集にせっせと取り組んでいる。先生もこれを容認している。他の生徒は、単元の先生の解説の後、教科書に書かれている問題に取り組む。それに我々ボランティアが支援する。そのなかには授業についてゆけないと分かる子が何人もいる。
 
 経済の高度成長に伴い、世帯の平均的所得が向上するにしたがって高校全入が叫ばれるようになり全国に多数の高校がつくられたが、今はそれらの統廃合が進んでいる。また、最近は高校無償化により誰でも高校に進学することができるようになった。
 このような環境では、中学校は高校進学が当然視され、猫も杓子も高校進学となる。しかし、中学校でも授業について行けない子が、高校に進学して何を勉強するのだろうか。授業について行けない子が50分の授業の間じっとしているのは相当に苦痛のはずであり、時には彼らはよく我慢しているなと思うこともある。その為にお前達ボランティアがいるのだろうという非難も聞こえそうだが、特に数学は、小学校の算数を基盤に知識の積み重ねがあるのであり、部分的に理解できるところがあっても、体系的には理解できない。
 
 ところで、しっかりした生計を営むには、しっかりした職業について収入を確保しなければならない。しっかりした職業といえばそれだけでまた議論になりそうだが、要は高校に進学しなければしっかりした職業につけないと頭から決めてかかる今の風潮に大いに問題がある、とはいえるのではなかろか。肉体労働やサービス業もしっかりした職業である。人には向き不向きの個人差があり、高校・大学を卒業して事務職につくのが万人に向いているのではない。
 そのことを小学校、中学校の時からしっかり教えること、どんな分野であれ一流の技術を身に付ければ誇りをもって生涯をまっとうできること、そのための努力をおしまいないことをもっと早くから教えること、が大事である。宮大工の棟梁は、中学校卒業と同時に門を叩く者しか弟子に取らないという。
 
 職業とは何か、人の一生をどのようにまっとうするか、自分の将来を自分の持ち味に合わせて考えるようにさせる教育に子供の時から力を入れれば、外国人の労働力に頼ることなく日本は自前で立派にやってゆけると思うのである。