2018年12月16日(日曜日)
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【天皇御製に学ぶ 第二十七回】 四宮正貴(四宮政治文化研究所代表)

今上天皇御製
 
新嘗祭
 
新嘗の 祭始まりぬ 神嘉殿 ひちきりの音 静かに流る
 
今上天皇が、昭和四十五年に「新嘗祭」と題されて詠ませられた御製である。
新嘗祭は宮中の神嘉殿の神座に天照大神の御霊をお招きして、今年の五穀の豊穣を奉告し、感謝し、新穀で作ったご飯やお酒を陛下ご自身で天照大神にお供へし、ご自身でもお召し上がりになると承る。神人合一の尊き儀式である。
 
 神嘉殿の儀式は「夕の儀」(午後六時)と「暁の儀」(午後十一時)と同じことが二回繰り返されすべてが終了するのが二十四日の午前一時を過ぎるといふ。
新嘗祭の「御告文」では五穀豊穣の感謝と国家国民の幸福をお告げになって祈られると承る。
「ひちりき」とは神楽などで使ふ管楽器・笛で、天皇陛下がお出ましになると神楽歌が流れる。そのときの様子を詠まれた御製である。
今上天皇におかせられては、この時、次の御製も詠ませられた。
 
松明の 火に照らされて すのこの上 歩を進め行く 古思ひて
 
ひちきりの 音と合せて 歌ふ声 しじまの中に 低くたゆたふ
 
歌ふ声 静まりて聞ゆ この時に 告文読ます おほどかなる御声
 
日本は、今日においても、神話の世界のままに、天の神の祭り主の神聖なる御資格を受け継ぎ給ふ天皇を、現實の國家君主と仰ぎ奉り、國家と民族の統合の中心者として仰いでゐる。これは日本の麗しい自然と稲作生活が完全に滅びない限り続くであらう。
かうした事實が、西洋諸國やシナと日本國との決定的違ひである。わが國が、長い歴史を通して様々な変化や混乱などを経験しつつも國が滅びることなく統一を保ち続けたのは、天皇といふ神聖なる祭祀主と仰ぐ信仰共同體精神・祭祀国家の道統があったからである。
 
わが國の傳統信仰における最も大切な行事は祭祀である。祭祀は、自然と人の命を拝み、自然と人の命を大切にする精神の實践である。わが國の傳統精神は、一人の教祖が説いた教義・教条ではない。教条的で固定的な教義を絶対的なものと信じ、これを信じ込ませるといふのではない。
祭祀は、自然を破壊し人の命を軽んずる現代の状況を救済し打開する原理となると確信する。日本傳統精神の価値は今日まことに大切なものとなってゐる。天皇中心の道義國家の本姿を回復することが現代の救済につながる。
 
天皇は日本國の祭り主であらせられる。御歴代の天皇はわが國建國以来、常に國民の幸福・世界の平和・五穀豊饒を祈念して来られた。『日本書紀』神武天皇即位前紀戌午年九月甲子の段に「丹生川上に陟(のぼ)りて、天神地祇を祭りたまふ。」と記されてゐる。
 
わが國の傳統精神は、現代において〈天皇の祭祀〉といふ生きた形で継承されてゐる。太古の祭祀が、外来宗教を摂取し且つ近代科學技術文明が発達した今日唯今の日本において、現実に國家元首であせられられる天皇によって執り行はれてゐるといふ事實は、世界の奇跡である。
 
天皇の御使命は、地上に稲作の栄える瑞穂の國を作られることにある。これが天皇中心の日本國體の根幹である。稲作生活から生まれた神話の精神を、祭祀といふ現實に生きた行事によって今日ただ今も継承し続けてきてをられる御方が、日本國の祭祀主であらせられる日本天皇である。
その天皇の〈まみつりのこころ=無私の御精神〉を仰ぎ奉ることが、我が國の道義の中心である。天皇を中心とする信仰共同體が神話時代以来の日本國の本姿なのである。「現行占領憲法」にどう書かれてゐようとも、この道統は守られなければならない。