2018年12月16日(日曜日)
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【台湾は日本の生命線】 ―知っておこう!「台湾独立」とは「中国からの独立」ではない―   台湾研究フォーラム会長 永山英樹

10月20日、台北では数万人の台湾独立派が参加する集会があり、台湾独立の賛否を問う公民投票(国民投票)の実施を訴えた。
 
この「台湾独立」とは、「戦後の中華民国体制からの独立」のことである。外来政権(中国からの亡命政権)から脱却し、真の台湾人国家を建国するということだ。
 
現行の中華民国憲法は1946年に中国で制定されたもので、それが規定する「固有の疆域」(領土)は現在の中華人民共和国(そしてモンゴル国)とほぼ一致する(起草当時、日本領土だった台湾はそれに含まれていない)。だからこのような異常極まりない憲法がある限り、国民のアイデンティは混乱し続けるばかりか、中華人民共和国に統一の口実を与え、国際社会からも中国の一部だとの誤解され続けるのである。
 
台湾の隣国である日本ですら、そうした誤解は一般的だ。日本の一部のメディアも今回の集会を報じたが、しかし当日の台湾人のせっかくの叫びも、正確に日本国民に届いたかどうかは疑問である。なぜなら国民の多くは、台湾独立を「中華人民共和国からの独立」だと勘違いしているからだ。
 
言うまでもなくそれは、台湾を中国の領土の一部と強調する「一つの中国」の虚構宣伝に惑わされているためだ。
 
中国は折に触れ、武力行使の可能性をちらつかせながら「台湾独立に断固反対する」と叫んでいることは周知のことだが、あの国が定義する「台湾独立」とは「中国の国土分裂を画策すること」。もちろん台湾は中国の国土ではないから、実質的には「台湾が中国の統一の要求を拒否すること」を指すと理解すればいい。
 
そしてこのように虚構宣伝が生んだ虚構の定義ではあるが、こうしたものに日本国民はすっかり騙されてしまっているのである。
 
日本メディアもこの虚構宣伝に従った誤報を繰り返している。例えば民進党を報じるに、よく「台湾独立志向の民進党」と表現するのはそれである。「一つの中国」を認めない民進党は中国から見れば不倶戴天の「台独分裂」勢力だが、メディアはそれに騙さたり、あるいは騙されたふりをしているようだ。メディア各社が一斉にこうした表現を用いていることから、おそらく中国からそうするように内面指導を受けているのだろうと私は見ている。このような状況だから、国民の誤解もますます広がる一方だ。
 
ちなみに日本の新聞の台湾報道には中国に配慮した誤報が多く、台湾独立の四文字にわざわざ鍵括弧で括るというのはその象徴例だ。中国政府は国内メディアに対し、「台湾独立」の文字を使う際には引用符を付け、「所謂台湾独立」と表現するよう指導しているが、日本メディアも同じ指導を受け、鍵括弧を付けるのだろう。
 
一方、当然のことながら「一つの中国」宣伝に騙されない国民もいる。しかしそうした人の中には「台湾は中国に支配されていない」として、「台湾はすでに独立した国家だ。したがって台湾独立という問題は存在しない」と考える人が少なくない。きっとそれもまた、中国の宣伝の影響を受けた誤解といえそうだ。今回の集会を見てもわかるように、台湾独立の問題は実際に存在するである。台湾独立運動は戦後一貫して進められてきたが、誰も中華人民共和国からの独立など主張してはいない。
 
台湾独立運動の最大の敵は、当初は国民党独裁政権だった。この政権のために多くの独立派が逮捕、投獄、処刑され、あるいは海外の独立運動家は帰国を許されなくなったものだが、90年代の民主化後は、中華人民共和国が台湾独立の最大の敵となっている。
 
独裁支配から脱した台湾人によって中華民国(チャイナ共和国)の看板が下ろされ、「一つの中国」が否定されれば、中国は台湾を併呑する口実がなくなってしまう。そこであの国は上記のように、武力行使をしてでも台湾の独立宣言を阻止しようという構えなのだ。
 
そのため、中国による緊張の高まりを恐れる米国や日本の政府は、「台湾独立を支持しない」との見解を示している。
 
そして台湾の国民党も、中共と「一つの中国」「反台独」を合言葉に提携しているのである。そしてこの国共両党が最大の台湾独立勢力として目の敵にするのが民進党だ。しかし民進党は正しい意味での台湾独立勢力ではない。たしかに約二十年前までは台湾共和国の建国という目標を掲げてはいたが、今では中華民国体制を認めている。だから同党を「台湾独立志向」とする日本メディアの報道は間違っているわけだ。今回の台湾独立派の集会についても同党は快く思わず、公職にある党員、11月の統一地方選挙に立候補する党員の参加を禁じたほどだ。
 
さて台湾では、「台湾独立」を口にすると、それを「中国からの独立」の意だと誤解する外国から、ますます「台湾は中国の一部だ」と勘違いされかねないなどとして、「国家正常化」と言い変える人々も多い。
 
今日の中華民国は、台湾住民による総統直接選挙も行われ、すでに外来政権とは言えなくなってはいる。ただし肝心の国名は「中華民国」で、憲法は「中華民国憲法」のままであるなど極めて不正常な状態だ。そこで台湾独立派は正名、制憲、建国、つまり国号を台湾国に改め、台湾憲法を制定して国家の正常化を図ろうとしていうところだから、「国家正常化」との言葉は実にわかりやすい。
 
ただ私は「中国の一部」と誤解されるのを恐れ、「台湾独立」の言葉の使用を避けるという考えに百パーセント賛成しているわけではない。世界からそう誤解されているのなら、「台湾独立は中華民国からの独立だ。中華人民共和国からの独立という問題は存在し得ない」との宣伝もまた必要だと考えるからだ。中国覇権主義を支えるのは侵略のための軍事力と、侵略を正当化するための宣伝という二つの柱だ。だからあの国の宣伝の一つ一つも、徹底的に覆していく必要があるのである。
 
私がここで、「台湾独立」の真義を強調するのもまた、そのためなのだ。
 
台湾独立とは、いかなる国の干渉も許さぬ台湾の住民自決の問題だからだ。もし中国がそれを妨害のため武力を使うというなら、国際社会は台湾を守るために中国の侵略の動きを阻止しなければならない。だから日本政府も「台湾独立を支持しない」などと口にすべきではない。
 
だがもし台湾独立が「中華人民共和国からの独立」の意だとすれば、逆に中国は、いかなる国の干渉も受けることなく、台湾を好きに処理していいという話になっていくわけだから、日本国民はいつまでも、あの国の宣伝に騙され続けるわけにはいかないのだ。