2018年10月19日(金曜日)
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【マリの喫茶室(23)】 ―ウサギの手術―

 
 昨年、「想像妊娠している」と言われたマリであったが、最近、ますますお乳がはれてきた。
「乳腺炎になっている、毎日触ってしこりがないか確かめてください。しこりができたら、乳がんということもあるので、診せて下さい。」
とまるで人間を扱うように、ウサギ先生は言った。
 
それで、毎日とはいかないが、週に1回程度、お腹を触っていたら、だんだん一つの乳首が大きく膨らんで腫瘍みたいになってきた。
ウサギの乳首は、6つくらいある。
 
もしやと思い、マリを連れて受診したところ、
ウサギ先生は、触診し、レントゲンをとり、深刻な顔後ろの扉を閉め、まるで告知をするようにこう語った。
「乳腺を伝わって、すべての乳腺がはれています。乳がんの可能性が高い。幸い、肺には転移していないので、手術で切除した方がいいでしょう。」
「ウサギの麻酔は犬猫に比べて難しいですが、最近ウサギ用の気管チューブができたので、以前より格段に安全に麻酔をかけられるようになりました。
 メスウサギは、4歳以上になると乳がんや子宮がんにかかり、亡くなる確率高いと言われています。
 念のため子宮も一緒にとりましょう。悪性腫瘍かどうかは、術後の病理検査で分かります。」
 
 予防的に子宮をとるなんて、アンジェリーナ・ジョリーみたいだと思った。
 それにしても、動物も人間と同じなんだな。糖尿病にもなるし、婦人科系の病気にもなる。
 
 私の勝手な想像だが、ペットのメスウサギが婦人科系の病気にかかるのは、生殖活動をしていないからではないか。本来ウサギは繁殖力が強く、しょっちゅう妊娠している動物である。
 ところが、ペットウサギたちは、生涯バージンウサギで、それはきっと自然の摂理に反しているのだろう。だから、無用の長物となった子宮が悪さをするのかもしれない。
 
乳がんかもしれない、というのは想定内ではあったが、やはりそう言われると辛かった。とはいて、今は癌は不治の病ではない。人もウサギ同じだろう。早期発見を信じて、マリの手術をすることにした。
 
そして手術の日。
もしかしたら今生の別れになるかもしれないので、前日から、キャベツやブドウなど好きな物を食べさせた
嫌がるマリを捕まえてバックに入れ、電車に乗った。
マリは、どこに行くかのか知らないが、ドナドナドーナを歌いたい気分だったかもしれない。
ウサギ先生にマリを預けて、とぼとぼ一人で帰ってきた。
 
そして、手術は成功し、マリは4日後に帰ってきた。
幸い、病理検査では良性だった。女性ホルモン分泌の異常でお乳がたまりすぎ、ひどい乳腺炎になったのではないかという。これ以上、お乳を製造しないよう、子宮を摘出した。
毛がかられたマリのお腹は鳥のモモ肉のようにピンク色で、傷跡が痛々しかったが、いたって元気だった。
マリの生命力に感服、昨年も腫瘍摘出手術をしたので、手術はこれで二度目であるが、無事乗り切った。
年をとると機能が落ちて、あちこちが悪くなるのは人間もウサギも同じ。
今回も危機を乗り越え、8歳のシニアウサギのマリは、しぶとく人生を謳歌しています。