2018年10月17日(水曜日)
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【マリの喫茶室】(22) 台風の夜

 異常気象と言われて久しいが、今年の夏は台風の進路まで‘異常’である。
天気は西から変わるという常識を破り、今年の台風は東から西に抜けていった。
台風直撃か?という夜、予定を切り上げ、早めに帰宅した。横殴りの雨の中
ずぶ濡れで帰宅し、家の中に入った時は本当にほっとした。
雨足は益々強くなり、台風の風がゴーゴーと聞こえてきた。
しかし、家の中は安全である。
ひどくなる前に帰ってよかった、とお茶を飲みながらまったりしていた。
 
そんな台風の夜、ふと気が付くと、ウサギのマリがいない。
「まりちゃーん」
と呼んだが、影も形も見えない。いつもなら走ってくるのに。
他の部屋にいるのか、としばらくそのままにしていたが、一向に姿を表さない。
犬猫なら、呼べば「ワン」とか「ニャー」とか答えるが、ウサギは声が出ないのでこういう時は不便である。
 走ってこない、ということは走ってこれない状況にあるのではないか。
今までもいないと思ったら、具合が悪くて部屋の隅に隠れていたことがあった。
また、クローゼットの中にいたこともあった。私がクローゼットを開けた時に知らない間に入り込み、出れなくなったのである。
だんだん不安になり、「マリちゃーん」と叫びながら、家中を探し回った。
カーテンの中にもいない。
押し入れの中やトイレやお風呂も見たがいない。
一応、洗濯機の中ものぞいてみたがいない。
 
玄関から出ていくはずもないし・・と考えあぐね、ふとベランダの戸を開けてみると、サーと黒い影が家の中にかけこんできた。
マリである。
おそらく、私が「台風はどうかなー」とベランダの戸を開けた時に、外に出てしまったのだろう。
真っ暗な夜、台風の中、ひとりぼっちでベランダにいたのである。
おそらく、30分以上いたのだろう。
マリは家の中にかけこむと、お気に入りのテーブルの下に走っていき、へたり込んだ。
きっと怖かったのだろうと思う。可哀そうなことをしてしまった。
風で吹き飛ばされなくてよかった。
 
その晩は、マリの好きな乳酸菌のサプリメントとニンジンを多めにあげ、
「ごめんね、ごめんね」
と言いながら、いっぱいなぜなぜした。
 
いつも家の中で、安泰に暮らしているのに、よりによって台風の夜、外に出てしまい、箱入りウサギの受難であった。
 

(青森ねぶた祭のウサギ、タヌキ、リス)