2018年12月16日(日曜日)
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「とおる雑言」 男と女を描いた「軍中楽園」 寺井 融 アジア母子福祉協会監事 

「とおる雑言」
男と女を描いた「軍中楽園」
寺井 融
アジア母子福祉協会監事 

 
話題の台湾映画、「軍中楽園」(監督・脚本は、ニウ・チェンザー)を見た。
舞台は一九六九年の金門島。中華民国(台湾)が、大陸反攻の最前線として、同島などに十万の兵を展開していた時代の話である。
 
徴兵検査が甲種合格。名誉ある「海龍蛙兵」に選抜されたのが主人公のルオ・バタイ(イーサン・ルアン)であった。彼は教員の両親のもとで育てられ、真面目な性格。本島に残してきた恋人のため童貞を守っている。金槌であったことが知れ、831部隊と呼ばれる「特約茶室」に転属させられた。そこは、軍が管理する公娼だったのである。
 
のどかな村に精強な軍隊、大陸からの定期便となっている砲撃、商店街もあれば、劇場までもある。兵士たちの無聊を慰めるため、アジアの歌姫、テレサ・テンも、そこで歌っている。
 
本島からの友人の兵士、大陸で無理やり軍に入れられた純情な上官、いろいろな家庭事情で娼館にやってきた、たくましい公娼たち。彼女らが、明るいのも救われる。
 
公然の秘密であった、いわば恥部を、丹念な取材のもと、甘く切なくユーモアと人間味あふれるドラマに仕立てあげている。
 
「歴史もあれば、愛の要素もあり、若者が成長していく青春物語でもある」とニウ監督は語る。中国大陸と台湾の両岸関係を考える上でも、軍隊と性の問題、人間を問う意味でも、骨太な映画だ。何よりも面白く、「幸せを望んで、もがく男と女の真実の姿」(映画パンフ)が、きっちり描かれている。