2018年11月18日(日曜日)
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既に有事である 荒木和博

既に有事である
荒木和博

 
 2月2日、石川に行って漂着・漂流船の現場を見てきました。行った場所は次の5か所です。
 
(1)白山市美川灯台 1月5日に7キロ沖合に漂流船
(2)金沢市安原海岸 1月10日漂着船 船内に遺体7体、15メートル離れたところに遺体1体
(3)羽咋市千里浜 漂着船
(4)志賀町西浦千ノ浦海士崎灯台の南200メートル 1月24日漂着船
(5)志賀町百浦海岸 12月23日漂着船
 
 (1)は場所の確認だけ、(3)は船にブルーシートがかけられ釘で固定されていたため(どこかのお役所がやったと思われます)船体の確認はできず、(5)はちょうどこの日の昼解体撤去されており見ることができませんでしたが、(2)と(4)は現物を見ることができました。漂着船は写真ではずいぶん見てきましたがおそらく現物を見ないと実感できないであろう感覚、ぞっとするようなものを感じました。
 
 能登半島の西岸真ん中あたり、志賀町まで行ったときは夜の8時頃になっていました。あたりは真っ暗でした。灯台の横に乗せてきてもらった大口英夫・救う会石川事務局長の車を置いて海岸に下り、真っ暗な岩場を懐中電灯だけを頼りに歩きました。かなり光の強い懐中電灯を途中で買って持って行ったのですが、広い岩場では場所を特定することができません。とても見つからないだろうと半ばあきらめかけたのですが、「もう少し行ってみましょう」と大口さんの言葉に駄目元でもと思って岩場を歩いていたら、やがて100メートル程先、懐中電灯の光の中に船が浮かび上がりました。
 
 船は岩や流木の上に乗っかったようになっており、周囲より少し高い位置に漂着していました。引き潮のときで闇夜の岩場に浮かんだようになっている姿は壮絶なものを感じました。何か「ほら、こんな事が起きてるんだよ。何もしなくていいのかい」と私たちをあざ笑っているようにも思えたのです。男3人で行ったから近寄れたのであって、自分1人であれば怖くてとても行けなかったでしょう。
 
 今回見た現場はとりあえず人間の上陸は考えにくく、すべて遭難による漂着と思われます。この4か所の事件だけでも何人が犠牲になったことでしょう。それぞれの人に親兄弟や妻子がいたはずです。ご家族は今どんな思いで海を眺めているのでしょうか。私は船を離れるとき岩場を歩きながら覚えていたお経を唱えていました。そして、これから日本に何が起きるのかを考えると、それはそれでまた重くのしかかってきました。
 
 もう「有事」は始まっています。しかし現実には東京の感覚はあの漂着船で感じたものとかけ離れています。いや、石川県内でさえ金沢と能登では異なるというのです。少しでもそれを知るものが声を上げなければならないと、切実に感じている次第です。
 
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●前号に記載した以後の接岸・漂流は以下の通りです。もし抜けているものがあればご指摘下さい
 
 29日 鳥取県鳥取市気高町奥沢見海岸 遺体1体(ハングルが書かれたタグのついた黒い長袖ジャージと長袖Tシャツ、ズボン下着用。身長約170センチ、頭部はほぼ白骨化)
 29日 新潟県新潟市西蒲区越前浜海岸 木造船の一部(長さ3メートル幅1.6メートル高さ1.43メートル 煙突あり)
平成30年(2018)
1月4日 秋田県三種町釜谷浜海水浴場 木造船の一部(長さ約8.1メートル幅約2メートル 船底及びスクリュー )
 5日 石川県白山市沖 木造船(長さ約13メートル幅約3.5メートル 船首にハングル)1隻
 6日 秋田県由利本荘市松ヶ崎漁港 木造船の一部(長さ4メートル幅約2メートル 白地に赤の数字)
 7日 京丹後市網野町 木造船(長さ約10メートル幅約3メートル ハングルのような文字の書かれた板が付近に漂着)1隻
 8日 新潟市西蒲区間瀬海岸 木造船(長さ約5メートル幅約1.5メートル)1隻
 8日 秋田県男鹿市野石申川海岸 木造船の一部(長さ約7.7メートル幅約1.9メートル)
 1月10日 金沢市下安原町安原海岸 遺体1体(年齢不詳顔などの一部が白骨化。黒色のジャンパーと青色のズボンを着町。身元や国籍の分かるものは身に着けていなかった) 木造船(遺体から15メートルの距離 長さ16メートル幅高さともに3メートル 船尾にプロペラ 船体にハングルや数字などの標記見つからず 船内から16日7遺体発見 船首付近に4人、真ん中あたりに3人が折り重なるように倒れていた。セーターやトレーナーを着ており目立った外傷はなかった。 金日成と金正日の並んだバッジ1個)1隻
 1月21日 新潟県粟島八幡神社から200メートルの海岸 木造船の一部(船尾 長さ1.2メートル幅1.3メートルのコの字型 赤字でハングル2文字が書かれていた)
 1月24日 石川県志賀町西海千ノ浦海岸 木造船(長さ8.15メートル幅1.9メートル高さ1メートル平底型 船体に白く614という番号記載 コールタールのようなもので塗装、傷み激しく長期間漂流したものと推定)
 1月28日 石川県羽咋市新保町(志雄パーキングエリアの北約4キロ)木造船(長さ約5.9メートル、幅約1.9メートル 船体に黒い塗料。目立った損傷なし)
 1月30日 石川県志賀町大津、上野の境界近くの海岸 木造船の一部。不鮮明だが「3682370」と白い文字で船体に記載。
 2月2日 石川県金沢港北西約64キロ沖 木造船。船体に文字や数字とみられる表記。
 2月2日 秋田県由利本荘市出戸字浜山の海岸(西目漁港北東1キロ) 木造船の一部(長さ4.5メートル幅約2.7メートル 船体に赤い字で「556-60269」と記載

 (了)