minsha 「とおる雑言」

「年に千円」でも政治献金を 寺井融(母子福祉協会副理事長)

自民党の派閥パーティが問題となっている。政治資金の届け出に瑕疵があれば正せばよいだけの話であって、問題の本質は、実はそこではない。

一番問われるべきは、政治にお金がかかること。それを言うと「私は政治家から白封筒に入ったお金など受け取ったことはない」とか、「芸者をあげての宴会に招かれたこともない」と答える人がいる。それは普通である。経験している有権者は稀の筈。

会場を借りての集会やビラ・チラシの製作配布、宣伝カーの展開、事務所の維持、弔電や祝電などすべての政治活動にお金がかかる。日本では公明党(創価学会)と共産党をのぞくほとんどの政党が、政治団体としての機能を果たしていない。そこで政治家、もしくは候補者の自弁での活動となる。

中選挙区制の時代、実弾(つまりお金)が乱れ飛ぶ選挙区もあった。保守同士の闘いがすさまじかったからである。小選挙区制となって、それには落ち着きを見せつつあるものの、政治資金法の厳格化により、資金がやせ細ってしまった。それを救ったのは党や派閥、個人の政治資金パーティである。資金集めが目的だから、当然、料理は貧弱。やらずぶったくり。それでも支援者が自分の名前が出ないのであれば、と協力してくれた。それが、今後どうなっていくのか。

やはり国民の意識変革が必要である。民主政治は自ら参加することである、と胆に銘じ、支援する政党や政治家に年に千円でもいいから献金すること。できればビラ配りなども率先してやったらよい。

(「とおる雑言」二〇二三年十二月)