shohyo「書評」

「三日月よ 怪物と踊れ」(藤田和日郎 講談社) 三浦小太郎(評論家)

 漫画雑誌週刊モーニングで連載されていた『三日月よ 怪物と踊れ』がついに最終回を迎え、この10月23日全6巻の単行本として発売された。これは近年の漫画作品の中でも最高傑作のひとつと断言できるもので、漫画に興味のない方にも是非ご一読をお勧めしたい。

 本作はメアリー・シェリーの名作「フランケンシュタイン」をもとにしており、そもそも漫画で重要な登場人物で語り手を務めるのがそのメアリー・シェリー本人だ。ヴィクトリア女王を狙う謎の女性たちの暗殺団とイギリス軍との激しい戦闘、圧倒的な暗殺団の強さ、そして舞踏をベースにした独特の剣術にイギリス軍は圧倒されるが、暗殺団の首領と思しき女性一人は戦闘中に崖から落ちて死亡した。しかしある科学者が、死体を、脳は事故で死んだ村娘、体は暗殺者のままの「人造人間=怪物」として蘇生させる。

あの強力な暗殺団は、次は女王隣席の舞踏会で暗殺を謀ると思われる。この怪物を、あの特殊な剣術を知るものとして、こちら側の防衛の一人として備えなければならない。幸い、脳を付け替えたというのに、体の方はあの剣術を覚えているようだ。シェリー夫人は国家機密として、この怪物に最低限の言葉やマナーを教え、舞踏会に参加できるよう教育することを命じられる。「フランケンシュタイン」の作者が、本物の人造人間=怪物に直面するのだ。

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