shohyo「書評」

『わが青春のウイグル』イリハム・マハムティ著 かざひの文庫発行 書籍の紹介と出版記念講演会のお知らせ 三浦小太郎(評論家)

 8月28日に、日本ウイグル協会にて初代会長を務め、近年まで運動の先頭に立って活動してきたイリハム・マハムティ氏の著書「わが青春のウイグル」が、かざひの文庫から8月28日に発売される。本書の出版記念講演会が9月9日午後2時半から、星稜会館4階会議室にて予定されているので、お時間のある方はぜひご参加をお勧めしたい(当日書籍販売予定)。

著者イリハム氏は1969年に生まれている。そして、彼が少年時代を送った70年代後半から80年代にかけては、ウイグルにおいて、いや、チベットや南(内)モンゴルにおいても、中華人民共和国建国・共産党支配実現以後、おそらくもっとも「平和」な時代だったと言えるだろう。

 

 文化大革命の惨劇後、鄧小平時代の改革開放が始まったこの時代、中国政府は、建国後初めてといっていいほど、自らの政策の過ちを認めた。政府の有力者であり改革推進派だった胡耀邦が、チベットで自ら文革の過ちを認めたのはその象徴である。中国政府は、各民族の文化や自治を、この時期だけは一定程度認めるそぶりを見せた。この時期にイリハム氏が少年時代を送ったのは、彼にとってささやかな幸せであったろう。

 

 少年時代をイリハム氏は楽しげに回想しているが、当時の小学校において、当時は学校の先生も、決してウイグル人だからと言って差別するようなことはなかったという。もちろん、イリハム氏は、成長するにつれ、中国人とウイグル人との距離、いびつな関係を感じるようになるが、現在の、全土が収容所と化した時代に比べればはるかに平和的な関係があったのだ。

記事の続きは有料会員制サービスとなります。

2023年3月より新規会員は新サイトで募集しています。
こちらでご覧ください。

Yamatopress Web News

やまと新聞は日本人による日本のための新聞社です。
会費は月額350円(税込)です。全ての記事・コラムがご覧いただけます。

会員の方はこちら