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朝鮮戦争の休戦協定締結から70年、軍事パレードに中ロの高官も ―――軍事パレードを武器セールに利用――― 宮塚利夫(宮塚コリア研究所所長)

 先月27日は朝鮮戦争の休戦協定が締結されてから70年を迎えた。北朝鮮はこの日を朝鮮戦争で勝利を収めた「戦勝節」と位置付け、首都平壌の金日成広場では軍事パレードが開催され、ひな壇中央には金正恩朝鮮労働党総書記が立ち、すぐ右隣にロシアのセルゲイ‣ショイグ国防相、左隣に李鴻忠中国共産党政治局員がそれぞれ並んだ。軍事パレードには米本土を狙う固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBМ)「火星18」や別の新型ICBМ「火星17」が登場。新開発した「戦略無人偵察機」と「多目的攻撃型無人機」がパレード前に平壌上空をデモ飛行する映像もテレビで放映された。これは金正恩総書記が前日の26日にショイグ国防相を武装装備展示会」に案内した際の報道で初公開されたもので、無人察機は滞空時間が30時間超と長く、高高度を飛行する米国の「RQ4グローバルホーク」や空対地ミサイルや精密誘導弾を搭載する米国の「МQ9リーパー」に外観が酷似している(つまりパクったということか)。性能は不明とのこと。北朝鮮は2021年1月の朝鮮労働党大会で決めた国防力発展の5カ年計画に無人機の開発を盛り込んでいた。ただこの無人機は実戦配備前の開発段階とみられ、北朝鮮メディアは試験飛行とされる様子も報じた。

 金正恩総書記は26日の展示会の視察の際にはロシアの国防相らに兵器を直接紹介したというが、これは北朝鮮による「国際的な武器セール」でもあった。北朝鮮とロシアの兵器の秘密取引疑惑は早くから報じられていたが、英国紙「フィナンシャル・タイムズ」(7月29日号)は、ウクライナの軍人たちが北朝鮮製兵器でロシアを攻撃する姿を捉えた。同兵器は122㍉多連装ロケット弾で、「バン122」と刻まれた写真まで公開された。北朝鮮製ロケット弾は船舶で移送中にウクライナの友好国がロシア軍に引き渡される前に押収したという。北朝鮮製ロケット弾が使用されたのは激戦地のウクライナ東部バフムート近郊で、旧ソ連時代に作られたロケットシステムを操作するウクライナ軍の部隊が取材に応じたという。もっとも、ウクライナ軍の砲兵司令官は「北朝鮮製の弾薬は不発率が高く暴発の可能性があるために好まれなかった」と説明し、大半が1980~90年代に製造されたものだという。ウクライナ国防省は同紙にロシア軍から「奪ったもの」だと示唆し、同省の顧問は「彼らの装甲車両と装備を捕獲した」とも述べたという。

 北朝鮮とロシアは兵器取引疑惑を否定してきたが、米国は北朝鮮がすでに約20種の兵器をロシアに引き渡したとみている。米ホワイトハウスは昨年9月、ロシアが北朝鮮からロケット数百万発を買い入れたと発表しており、今年1月には北朝鮮がロシア傭兵集団ワグネルと鉄道で兵器を取引する状況を捉えた衛星写真も公開した。

 北朝鮮の兵器取引は国連安全保障理事会決議と国際法に違反するもので、国際社会の厳正な対応が必要である。北朝鮮の兵器取引は名分のない戦争をさらに長期化させ、戦争犯罪に加担する行為に他ならないからだ。それにもかかわらず北朝鮮は「ロシア軍と人民と、いつも同じ塹壕に立っている」(金与正朝鮮労働党副部長)とし、随時ロシアの侵略戦争に露骨な支持と連帯を表明してきた。北朝鮮は兵器支援の代価としてロシアから食糧とエネルギーだけでなく、核弾頭の小型化など先端兵器の技術とノウハウまで伝授されるかもしれない。7月27日の軍事パレードのひな壇中央に立った金正恩朝鮮労働党総書記、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相、李鴻忠中国共産党政治局員のスリーショットは、安全保障で米韓両国との連携を深める日本が直面する核脅威を象徴しているように見えた。日本はロシア、中国、北朝鮮と言う核保有国と身近に接していることを日本国民は肝に銘じるべきではないか。