minsha 「とおる雑言」

【とおる雑言】 国民民主党は「旗」を高く掲げよ 寺井融(母子福祉協会監事)

衆参二十一名ほどの国民民主党が気にかかる。独特の位置にいるからである。

野党第一党の立憲民主党は、国民民主党と組んで総選挙を戦いたい。国民はゼンセン、電力、自動車、電機などの民間労組が応援しており、立憲は自治労、日教組など官公労が支持の中核である。昔で言えば同盟=民社、総評=社会の構図と似ている。

いま国民民主党が原発賛成、改憲推進であるのに対し、立憲民主党は原発反対、改憲慎重(護憲派と改憲派が混在している)と両党の間の溝は深い。しかし、同じ連合を支持基盤としているのである。

国民民主党に秋波を送っているのは、維新も同様であろう。大阪ほか関西圏の政党から全国政党へと飛躍するためには、民間労組の組織力は魅力的であるし、憲法ほかの基本政策も、国民・維新の両党の間で共通点が多い。何よりも国会で共同行動をとっているケースがあまた存在している。

さらに自民、公明両党も国民民主党と組むのを望んでいるのではないか。何せ二十数年となる自公連立政権に綻びが見えはじめている。かつての自自公政権や自公民路線がよかったという声もある。経団連が応援する自民と、民間労組の国民民主は親和性が高い。創価学会と民間労組との間では、選挙協力を行った実績もある。

つまり国民民主党は、各党からモテモテなのである。かつて民社党は民主社会主義という、拠って立つ思想がはっきりしていた。国民民主も思想や基本政策の旗を高く掲げるべきで、どこと連携するかは、その先の話だ。(「とおる雑言」二〇二三年七月)