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【コラム】永久に消せない奈良県警SPの致命的ミス

※イメージ画像

 

仕事には、業種や職種、役職ごとに求められる能力が異なる。

 

同じプロサッカー選手でも、DF(ディフェンダー)であれば攻めを防いで当たり前。ポジションやマンマーク、連携の確認など継続的な集中力が求められる。たとえ完封で終わっても、特別ヒーロー扱いされる機会は少なく、評価はされない縁の下の力持ちである。

 

反対にFW(フォワード)の場合。1試合で何回か訪れる得点チャンスに応えることができればMVP(最優秀選手)となり、ヒーローになる。膠着した試合であれば、10本の機会に1本でも決めればヒーローにだってなれる。この場合、成功率1割でも評価される。無論、失敗を続けて戦犯扱いされる可能性も高い。

 

継続的な集中力が求められる役職と一瞬の集中力が求められる役職。SP(Security Police、要人警護)は、当然ながら前者の継続的集中力が求められる困難な役回りである。警護できて当たり前。無事に1日を終えたところで「素晴らしい仕事だった」などと賞賛されることはまずない。逆に、一瞬のスキを突かれてテロが決行されれば、職務怠慢と揶揄されても致し方ない。地味ながら重責を担っているという緊張感とやりがいを持てる者だけが、選ばれしSPの職務に就く資格を有する。

 

安倍氏をテロリストの凶弾から守れなかった奈良県警SPは、その意味で永久に消せぬ失態を犯した。県警幹部全員が懲戒処分に処されるべき絶望的な失態である。選挙遊説の場合、聴衆との握手や記念撮影で近距離になるケースも多い。いかにプロフェッショナルでも警護対象が無防備に過ぎれば守り切れないこともあり得る。

 

ただ今回の場合、背後から撃たれる直前までSPは後ろ向きで不審者の警戒をしている様子もなく、安倍氏と同じ方角を向いているだけだった。1人でも背後の位置から後ろを警戒していれば、犯人も計画実行を断念したか、見張られている重圧で慌てた結果、手元が狂い2発目が撃てず、殺害を防げた可能性が高い。「仕方がなかった」とSPの事情を斟酌できるような現場の状況では到底なかった。

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