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「不敬罪」の復活を望む。 村田春樹(自治基本条例に反対する市民の会会長・今さら聞けない皇室研究会顧問)

前号では「月刊文藝春秋令和4年5月号」の皇室に対する名誉毀損について述べた。今号では不敬罪について述べたい。戦後日本中に「民主化」の嵐が吹き荒れた。戦前のものは全て古い・封建的・軍国的・時代遅れ・非民主的・愚かなもの・劣ったものとして排斥された。民主化の嵐は皇室にまで及んだことは前号でも述べた通りである。そし不敬罪が廃止されたのである。読者周知と思われるが、不敬罪という法律があったわけではなく、刑法の一部に該当する項目があったのだが、以下の通り削除されたのである。

 

刑法第二編第一章は、かつては存在していたが、一九四七年(昭和二二年)に削除されている。刑法(明治四〇年法律第四五号)第一章 皇室ニ對スル罪第七三条 天皇、太皇太后、皇太后、皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ對シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ處ス第七四条 天皇、太皇太后、皇太后、皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ對シ不敬ノ行為アリタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス 神宮又ハ皇陵ニ対シ不敬ノ行為アリタル者亦同シ第七五条 皇族ニ對シ危害ヲ加ヘタル者ハ死刑ニ處シ危害ヲ加ヘントシタル者ハ無期懲役ニ處ス第七六条 皇族ニ對シ不敬ノ行為アリタル者ハ二月以上四年以下ノ懲役ニ處ス

 

 もしこの刑法七三条から七六条が今なお存在していたらどうなったか。一〇年ほど前に皇太子妃殿下雅子さまを執拗に攻撃していたD大学のN名誉教授などは第七六条「皇族に対し不敬の行為あり」として二ヶ月~四年の懲役に処せられただろう。現在ネット上で激しく秋篠宮殿下を攻撃している皇室評論家連中がいるが、秋篠宮皇嗣殿下は皇太子に該当するので、彼らには第七四条が適用され懲役三月~五年に処せられるだろう。文藝春秋五月号の上皇上皇后両陛下に対する名誉毀損はやはり第七四条が適用されるだろう。こう思うとこの削除はかえすがえすも残念である。

余談だが戦前不敬罪が実際に適用されたケースは殆ど無い。さて不敬罪がなくなってしまい、マスメディア・SNSでの皇室に対する悪口雑言罵詈讒謗にはなすすべもなく耐えるしかないのか。ここに特筆したいのが現行刑法第三四章の名誉毀損罪である。名誉毀損は親告罪であり第二三二条に「この章の罪は告訴がなされなければ控訴を提起することができない」とあるが、続く第二項に「告訴をすることができる者が、天皇・皇后・太皇太后・皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が代わって告訴をおこなう」とある。つまり皇族が名誉毀損で国民を訴えたい場合、首相が代わって訴える(告発する)ことができる、としている。そうか現在でもこの手があるのか!と喜んだが甘かった。ここで戦後の皇室に対する名誉毀損の大事件について述べたい。

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