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【論説】親ガチャのハズレ親を恨んでみても

※イメージ画像

 

室町時代には運否天賦で幕府のトップが決まった「クジ引き将軍」などという者もいたが、最近はクジでなくガシャポン(かつてのガチャガチャ)で例えられる。どんな両親のもとに生まれたかが人生を決定づける今の社会で、アタリハズレは「親ガチャ」と皮肉交じりに名付けられた。

 

言い得て妙である。コネや資産だけでなく、頭の良さや運動神経など本人の努力だけではどうにもならないものは、おしなべて親から受け継いだものに起因するといって過言ではない。

 

よほどの「アタリくじ」を引いた人でない限り、誰もが「別の家庭に生まれていれば良かった」と、一度は考えたことがあるのではないだろうか。容貌から記憶力、理解力、運動神経、身長、コネ、財力に至るまで、ありとあらゆる面で、小生(記者)もそのような恨み節を親に抱いてきたし、今も心のどこかでその残滓は燻っている。

 

両親共に同じようなスペックであれば、そのような「貧乏くじ」を引いた感覚にはならないかもしれない。しかし、どちらか一方のみが極端に優秀だったり人間性が良かったりする場合、「でない方」の拙劣さが悪目立ちし、猶のこと「この父(母)親でさえなかったら」となり易い。

 

小生の場合、母は努力家で頭脳明晰。「ナイチンゲールのように傷病者を助けたい」と看護師になり、家計を助けるために夜勤を繰り返したことが原因で不眠症に陥り、過去の輸血でC型肝炎も罹患し、75歳で他界した。母を良く知る人に、彼女の悪口を言う人はいなかった。葬儀の参列者は少なかったものの、弔問客全員がその温かい人柄を懐かしんだ。

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