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【なるほど納得政経塾】-69- 「原子力発電の将来」   小山和伸(神奈川大学経済学部教授 経済学博士)

正しかったエネルギー主権

 本稿66号において、フランスの70%という高い原発依存度を支える、国民世論のコンセンサスづくりについて紹介したが、今年2月21日に勃発したロシアのウクライナ侵攻を機に、原発によるエネルギー主権にこだわったフランスの正しさが、明確になって来た。対照的に、福島原発後に脱原発を決定し、また石炭火力からの脱却を図ったドイツは、ロシアの天然ガスへの依存故に窮地に立たされている。

 確かに原発には技術的リスクがあるが、ロシアのガスには政治的リスクが伴うことを忘れてはならないし、また福島原発事故の真因が、決して原子炉自体にあったわけではないという、冷静な科学的検証を欠いたまま、原発停止を国家的決定としたことに、ドイツの苦境を招いた原因がある。

高濃度核廃棄物処理

 反原発世論の一番の論拠は、核廃棄物の処理問題にあると言って良い。そこで、フランスはこれに対してどのような対応を取っているのかを見聞するため、2022年2月28日、パリの東方約200kmのビュールにある、ANDRA(国立放射性廃棄物管理機構)の高濃度放射性廃棄物保管実験場を視察・見学した。

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