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嘘を覚えなければ大学入試は突破出来ない 安東歩太(政経講師)

 「日本国憲法は、・・・・・第二次世界大戦で国内外に多大な損害と犠牲者を出したことへの反省から、戦力の不保持と交戦権の否認を第9条で定めた。」(平成29年度明治大学全学部統一入試政治・経済問題文)はじめ全国の大学入試問題の偏向ぶりは目に余る。その根本にあるのは偏向した文部科学省検定済教科書にあるのではないか。

 とりわけ多くの大学で入試問題のタネ本とされている山川出版社の教科書・用語集をみてみよう。

GHQによる憲法の押し付けに関する記述は無く日本人の民間学者達(森戸辰男らによる憲法研究会)の考えがマッカーサー草案に影響を与えたとの事で、9条は防衛戦争迄放棄した世界で類を見ないものとされている。山川の詳説日本史を掘り下げた『詳説日本史研究』には9条は幣原喜重郎がマッカーサーに提案してきたと書かれてある。幣原が当初は帝国憲法を改正すべきではないと言っていた事実を隠して。片手落ちというよりかは意図的に仕組んでいるかのような印象を受ける。

 南京大虐殺、従軍慰安婦はじめ朝鮮人強制連行が事実とされ、先の戦争は日本が一方的に仕掛けた侵略戦争であったと言い切り、マッカーサーも最後は「あれは日本にとって自衛の為の戦争だった」と言っていたことについても一切触れていない。

 血のメーデー事件後、破防法が制定されたことについてもあたかも体制側が一方的に反体制側を弾圧したかのような記述であり、当時のサヨクがどれだけ暴力事件を起こしたのかについては一切触れていない。

戦後の革新自治体については公害の抑制や老人医療費無料化を行ったことで住民に感謝され、福祉政策で成果を上げたとしか書かれておらず、所謂「バラマキ」のせいでその後何十年も財政赤字に苦しむ結果となったことには一切触れていない。

 55年体制については、保守勢力=改憲・対米従属による軍事力強化で革新勢力=護憲・非武装中立という凝り固まりぶりである。彼らがワルシャワ条約機構軍には肯定的であったことなどについては一切書かれていない。

 再軍備についてもアメリカが日本に対し一方的に要求し徐々にエスカレートしたとされ、防衛力増強・・(第3次鳩山内閣)、防衛費の大幅・・な・増額・・(中曽根内閣)が何故行われたかについて、又当時他国の防衛費はどれくらいだったのか、それらは国家予算に対しどれ位の割合であったのかについて国際比較の記述も無い。

 警職法改正(岸内閣)についても、背景に関する記述は無し。ただただ政府による一方的な反体制派の弾圧が目的で、断念は革新勢力による反対運動の成果であるかの如くである。

 GHQによる押し付けである日本学術会議については「あらゆる分野の科学者を代表する機関」として設立されたとあり、これ又日本人が自主的に設立したかのような書かれ方である。

 人権保障については帝国憲法においては法律の範囲内において認めるという「法律の留保」があり限定的で民主主義とは程遠いものであったが、日本国憲法においては「永久にして不可侵」であり、あたかも人権が無制限に保障されているかのような印象を与える。そもそも民主主義国であっても人権は法律の範囲内で保障されているのは当然の事であり、今日の我が国においても然りである。それこそ人権が無制限に保障されでもしたら、「万人の万人に対する闘争(ホッブズ)」状態に陥ってしまうかもしれない。帝国憲法のもとで民主主義は実現出来る(美濃部達吉博士)のであり、戦後のGHQやコミンテルンによる日本弱体化政策の真実を隠す為に意図的に仕組まれた反日カリキュラムが今日も未だ生き続けていることを垣間見ることが出来る。

 その他、埃を叩けばきりがないが、こんな・・・教科書が文科省の御墨付きをもらい、大学受験生は日々せっせと暗記し頭に焼き付け、大学へ入れば公務員試験の教養科目も又、山川の教科書がタネ本なので一生懸命暗記して、自虐史観満載の頭脳でキャリア官僚になる(例えば前川喜平氏)。結局保守派の教師であっても、受験対策の授業は、山川の教科書・用語集をタネ本にせざるを得ない。

 かつて共産党の志賀義雄が、日本に暴力革命は必要ない。日教組の教師が共産党の作った教科書で子供達を教育し、社会主義マインドを染みこませる。やがて教え子達が社会の中枢になった時、革命は自然と達成されると言っていたことがある意味当てはまるのではないか。