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【なるほど納得政経塾】-68- 「軍事力と経済力」   小山和伸(神奈川大学経済学部教授 経済学博士)

ソビエト崩壊の第二幕は可能か

 2022年2月20日の北京オリンピック終了を待って、翌21日プーチン露国大統領は、ウクライナの親露派武装勢力が実効支配する地域の独立を承認し、同地域へのロシア軍派遣を指示した。現実化したロシア軍のウクライナ侵攻を前に、欧米諸国は結束してロシアへの経済制裁を検討・実施しているが、経済的制裁が喫緊の軍事攻撃のさなかに如何に無力であるかは明らかである。

 未だNATOに属さないウクライナに、欧米諸国が兵器供与以上の軍事介入をすることができない情勢と、露軍の対ウクライナ軍への圧倒的優勢が、プーチンのウクライナ侵攻を決断させた。今は、ウクライナ軍が大ロシア軍を相手に、どこまでどのように持ちこたえるか、その孤軍奮闘の如何に同国の未来がかかっている。

 もしウクライナが敢え無く、そして不甲斐なく露軍のもとに屈服すれば、ロシアのウクライナ支配にはそれなりの正当性が生まれてくる可能性がある。軍事力による実効支配の論理は、否応なく生きているからである。

 しかしながら、多くのウクライナ国民がロシア支配を望まなければ、支配の正当性には勿論陰りが生じる。その時こそ、経済制裁がものをいう。経済的疲弊は、自国民の支持を荒廃させ、国家の権威を喪失させる効果があるからである。

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