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【論説】第3次世界大戦はヌルっと始まるかもしれない

※イメージ

 

逃げ切り世代と言うと、年金や財政赤字の悪夢を先送りし、自分が生きている間だけは何とか平穏に過ごしたい……といった場合に用いられる言葉である。

 

同様に、誰しも自分が生きている間だけは関わりたくないのが、身近な戦争である。それが大国間の第三次世界大戦となれば、尚更のことである。下手をすれば、核抑止力でさえも防ぎきれず、危険な一線を越えて滅亡という悪夢だって、人類の手には最終選択肢として常に握られている。

 

そんな悪夢に発展しかねない危険な兆候がじわじわと近づいている気がする。ウクライナ情勢と、台湾海峡情勢である。かたや北大西洋条約機構(NATO)とロシアとの対立、かたや自由主義諸国の後ろ盾によって実質的な独立を続ける台湾と、昨年6月の香港統治に続き「一つの中国」を推し進める中国との対立である。前者の主なキャストが欧州とロシアで、後者が台湾と中国、そして尖閣諸島領有も絡んでくる日本も当事者となる。

 

いずれも関係国や地政学では別問題にも見えるが、両問題とも最前線で直接的に絡んでくるのが米国である。NATOのトップであり、東アジアにおける集団安全保障を牽引し、日米安保条約を結んでいる米国は、ユーラシア大陸の東西に分かれた問題に、西側陣営の総大将として頼みの綱であり、ロシアと中国が最も牽制する国である。

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