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【論説】なぜ今プーチンはウクライナを狙うのか

※2022年のプーチンカレンダー6月(Amazonより)

 

ロシアがウクライナとの国境に10万人近い大軍を集めて緊張が高まっている。半年前から軍備増強が始まり、ここに来て臨戦態勢に入っている。現地で何が問題になっているのか、極東日本の報道からはなかなか伝わってこない。プーチン大統領の真意は何なのか。

 

実はロシア側だけでなく、対峙する親欧米政権であるウクライナのゼレンスキー大統領も北大西洋条約機構(NATO)を黒海に招き軍事演習を行い、厳戒態勢を敷いている。2014年以来の現地の危機は「ウクライナ危機2.0」と呼ばれ、12月7日には米ロ首脳によるオンライン会談でも議題となった。

 

プーチン氏は軍事行動の理由に、NATO側の東方拡大への強烈な不満を挙げる。1991年に崩壊したソ連はその前年、ドイツ統一の条件として「NATOが東に拡張しない」という口約束を取り付けた。ところがNATOはポーランド、チェコ、バルト3国と次々に吸収。旧ユーゴの国々も2004年のスロベニアを皮切りに、クロアチア、モンテネグロと続き、2020年には北マケドニアが加盟。旧ソ連圏では、ウクライナのほかにジョージア政府も加盟を希望し、かつてNATOの対抗勢力だったワルシャワ条約機構(1955-91年)のほとんどが吸収されてしまった。非加盟国はロシアとウクライナ以外ではベラルーシ、モルドバ程度。ロシア側から見れば櫛の歯が欠けるように味方を奪われた形だ。

 

プーチン氏がNATO東方拡大を最初に批判したのは2007年のミュンヘン安全保障会議での演説。それを無視するように、NATOは翌年、ウクライナとジョージアの将来的な加盟方針を決定。これに勢いを得たジョージア政府に対してロシアは2008年に軍事介入し、親ロシアの南オセチアなどを独立宣言させるなどして、NATOにレッドラインを示した。

 

今に始まったことではないNATOとの勢力圏争いだが、プーチン氏の我慢がいよいよ限界に来た理由の一つに、12月8日に政界を引退した前ドイツ首相のメルケル氏(67)の影響力が大きいという見方がある。旧東ドイツ出身のメルケル氏は、KGBエージェント時代のプーチン氏のことも良く知っていると言われ、その弱みも握っていたと言われる。

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