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【論説】時流に乗り切れる人と乗り切れない人と

※イメージ画像

 

政治とは少々距離のあるお笑いの話だが、漫才日本一を決めるM-1グランプリが12月19日にテレビ朝日系列で生放送された。史上最多6,017組の頂点に立ったのは、50歳と43歳のおじさんコンビ「錦鯉」だった。

 

大会直前、『QJWeb』という公式インスタグラムとツイッターで、優勝予想するアンケートが行われ、決勝進出した9組のコンビのうち錦鯉は最下位と期待値が最も低いコンビだった。

 

人にはそれぞれ、過去を振り返って人生の最高到達点があるだろう。彼らにとって、2021年12月19日がその記念すべき1日であることは疑いの余地があるまい。もちろん、今後の人生にそれを上回る最高の日が来る可能性は大いにある。とはいえ、人生の折り返し地点にいる彼らの過去最高の1日が、人生全体においても最高の1日の1つになったことだろう。

 

最高到達点は人生だけでなく、1日の中にも山あり谷ありのリズムで生じる。その最高到達点が、決勝戦でなく一回戦で訪れてしまったコンビもある。優勝候補の筆頭だった「オズワルド」は一回戦で最高得点665点を獲得。655点で同点2位の錦鯉と「インディアンス」に10点差を付けて、最終決戦では3組目の登場となり、実力・順番ともにこの時点で「今年はオズワルド」という空気感が充満していたように見えた。

 

事実、6番目という好順番で登場したオズワルドの一回戦では、審査員の松本人志から「こんだけ期待されながら乗り越えてくる。めちゃくちゃ面白かった」と絶賛され、オール巨人からは「直すところないんちゃう」と大絶賛された。コメントだけでいえば、満点を貰ったも同然であり、この時点でオズワルドは主役に躍り出たといえる。

 

早めに頂点に立ったからといってそれを維持できないわけではないが、漫才のネタというのは鮮度が求められる料理に近い。その瞬間に最も客のツボを刺激する笑いを届けられるか否かは、ネタが腐りやすくないか、つまりは飽きられやすくないか、或いは手の内が分かると面白さが半減する要素がないか。更には、会場の雰囲気に影響されやすい演者か否かでも笑いの量は露骨に増減する。

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