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危険な共産党との火遊び‼ 惨敗の立憲民主党  鳥居徹夫(元文部科学大臣秘書官)

 任期満了に伴う総選挙が10月19日公示、31日投票で行われ、自民党が単独で絶対過半数の261議席(公示前276議席)を獲得し、連立を組む公明党も32議席(同29議席)と伸ばした。

一方、野党第一党の立憲民主党は96議席(同110議席)、共闘を組む共産党も10議席(同12議席)と議席を減らした。

 

◆予想が外れたNHKなどメディア 

今回の総選挙は、マスコミ予想が調査日によって大きく変動した。

僅差で激戦の選挙区の多さや、立憲民主党と共産党との政権政策の共闘の動向、さらには序盤と終盤における情勢の変化などにより、どのメディアも判断に苦しんだと思われる。

たとえばNHKは最終日に、自民212~253、立民99~141と放送していたが、これでは幅がありすぎ予想とは言えない。安全策をとったと思われるが、実際その範囲をも外れた。

投票を締め切った10月31日午後8時には、自民党の派閥を率いる石原伸晃の小選挙区落選が報道され (比例でも落選)、各メディアとも「自公あわせて過半数確保」という論調や報道であった。

ところが激戦区の開票が進んでくると、翌日午前を過ぎから与党候補がセリ勝ち、また比例代表の開票が進み、自民党単独で絶対過半数261議席に達したのである。

選挙報道は、7月の東京都議会議員選挙の予想が、全メディアともはずれたことから、「自民党にきつく、野党に甘い」予測報道となったが、ものの見事に外れた。

 

◆自民党が競り勝ちした激戦区、立憲民主党は敗北 

公示直後の序盤の選挙戦は、与野党とも勢いがなかった。

期待された岸田文雄総裁は抑揚のない演説で、動員を除けば立ち止まる聴衆は少なく、選挙の盛り上がりに欠けた。

選挙情勢が大きく動いたのは、並行して行われた参議院補選の静岡選挙区で、自民党候補の敗北が予測されてきたときである。

補選の終盤になって枝野幸男が、立憲民主党、国民民主党と連合の推薦候補の応援に静岡に入った。共産党は独自候補を立てており、立憲民主党と共産党との共闘ではなかった。

補選の序盤戦では、推薦候補が国民民主党に近いこともあり応援の予定すらなかった。補選では自民党候補が敗北し、立憲民主党と国民民主党の推薦候補が勝った。

立憲民主党は野党第一党であり、立憲民主党の勝利であるかのようにメディアでも取り上げられ、総選挙の終盤に向けて勢いづいたように見えた。

一方自民党は、総選挙終盤の一週間に組織を引き締め、来年2022年の参議院選挙に比例代表候補を擁立する各業界団体は、選挙区の候補者を支援し、激戦区の追い上げに効果的であった。

総選挙結果は、激戦区の自民党が競り勝ち、立憲民主党の敗北を招いた。

 

◆政権共闘で、共産党にコントロールされる立憲民主党 

小選挙区の279うち、維新を除く野党の統一候補が当初213選挙区にのぼったという。うち自公と立憲民主・共産の一騎打ちは139。

213選挙区の党派別内訳は、「新聞アカハタ」によると立憲民主党161、共産党34、国民民主党7、社民党6、れいわ1、無所属4。

ところが共産党と距離を置く国民民主党の7候補には、共産党が対立候補を擁立したのである。必ずしも候補者を一本に絞ったのでなかった。

共産党は、「選挙区の立憲民主党の候補者をよろしく」とソフトに語り掛け、「比例は共産党」とお願いした。

また共産党に選挙区を譲った立憲民主党陣営は、逆に選挙区に共産党候補の名を呼びかけ、比例は立憲民主党と呼びかけることを余儀なくされた。

立憲民主党の陣営は「選挙区は共産党」とお願いしなければならない。

前回2017年は、単に共産党が候補者を降ろしただけであり、立憲民主党も共産党陣営も適当であった。

 共産党候補に一本化され立憲民主党の候補者がいない選挙区では、「選挙区は共産党の候補者、比例は立憲民主党」と呼びかけたという。

立憲民主党の支持者からは「立憲民主党は、共産党と組んでいるのか」と反発も多く、立憲民主党の選対は困惑した。

立憲民主党と共産党の共闘により、立憲民主党の選挙事務所にも、共産党の運動員が出入りしていたようだが、そのうち選対にも共産党の事務局員が入り込むことにもなりかねない。

共産党の票を上積みして当選した立憲民主党の議員は、共産党の言いなりになってしまう。それが共産党の狙いであろう。

共産党は閣外協力と主張し、立憲民主党の単独政権という。閣外協力ならば、内閣を立憲民主党が組織しても、法案一つとっても共産党の同意が必要で、共産党は立憲民主党へ左翼バネを押し込むことができる。

閣外協力では共産党がフリーハンド。つまり政府・政権構成者としての責任が問われない。立憲民主党の単独政権では、共産党がリモートコントロールすることとなり、共産党への忖度政治になる。

 

スキマ風から亀裂にまで拡大した連合と立憲民主党 

この総選挙の激戦区は、当初は70程度と言われていたが、終盤には自民劣勢・立憲民主党と共産党の共闘などで120が激戦区とマスコミ予想であった。

 さらには参議院の静岡補選で自民党候補の敗北などもあり、立憲民主党が政権獲得の確率は大リーグの大谷翔平選手の打率程度と、枝野代表も胸を張っていた。

 ところが最後の一週間、自民党は来年2022年の参議院選挙も視野に入れた取り組みを展開した。

参議院比例代表の候補者を擁立する職域団体、農業や建設・医療・介護、商工団体の政治連盟などが支援にまわった。

自民党は、職能団体・組織の活動と一体化したような取り組みを進め、僅差の選挙区で立憲民主党に競り勝った。

結果は289選挙区中、2割を超える64選挙区で当選者と次点の差が1万票未満の接戦であった。

 自民党の「魔の三回生」は、これまで安倍晋三総裁の下で楽々当選してきた議員が多く、逆風下の選挙を経験したことがない。

その「魔の三回生」議員71名のうち、当選は67名 (選挙区49、比例復活18名)、落選は4名に過ぎなかった。

 

これに反し野党の立憲民主党は、来年の参議院選挙の取り組みと連動しなかった。とくに比例代表で候補者を擁立する連合(労働団体)とはバラバラであった。

共産党からも連合からも、両方から支援を求めようという立憲民主党は、双方から不信感を持たれ、ものの見事に足をすくわれた。

支持団体の連合と立憲民主党との関係は、これまでのスキマ風から亀裂にまで拡大した。

 

連合にとって「共産党は敵」 

連合の芳野友子会長は10月1日の記者会見で、共産党との共闘について「連合の組合員の票が行き場を失った。受け入れられない」と語った。

さらに4日には「今後の連合の対応の仕方も考えていく時期に来ている」と述べ、立憲民主党、国民民主党への支援のあり方を見直す可能性を示唆した。

連合にとって「共産党は敵」である。共産系労組が飛び出した総評の駆け込み寺として、民間労組と一緒になったのが、結成31年目を迎えた連合である。

連合に票を求めるならば、立憲民主党は「左右の全体主義に反対する」と確約した「連合との政策協定」を遵守しなくてはならない。

立憲民主党は「共産党との浮気が不倫に発展し、同棲までしている」と揶揄された。

立憲民主党の議員や候補者は、自らの地域活動もおろそかにし、思わぬ取りこぼしが相次いだ。

政権批判の風で議席を得ており、今回も共産党の票や連合票の期待(幻想)もあって緊張感が少なかった。

悪くとも比例復活で議席を確保できると安易に考えていたようだが、その比例代表選出の現職議員の落選者が続出した。

自民党の「魔の三回生」への批判が、そのまま立憲民主党の議員や候補者に跳ね返ってきた。