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【ストップ・ザ・左翼政局】  再エネ狂奏の神奈川グレタ隊‼ 総裁選で座礁 元文部科学大臣秘書官 鳥居徹夫

任期3年の自民党総裁選挙(任期満了)が9月29日に投開票が行われ、決選投票で岸田文雄前政調会長が選出された。10月4日召集予定の臨時国会で第100代首相に選ばれ、岸田内閣が発足する。

安倍晋三前首相の病気辞任で、残りの任期を務めた菅義偉首相が自民党総裁選挙に不出馬を表明し、正規の総裁選挙は4候補の争いとなった。

党員投票の資格者は約110万人、投票率は党員の関心も高く69%と高水準となった。

総裁選挙は、国会議員票、党員票それぞれ382で計764票。どの候補者も過半数に満たないときは決選投票となり、議員票382票と都道府県票47票を上位2候補で争われる。

第1回目の投票は、1位は岸田候補で256票(国会議員票146票、党員票110票)、2位は河野太郎行政改革担当相で255票(国会議員票86票、党員票169票)、3位は高市早苗前総務相で188票(国会議員票114票、党員票74票)、4位は野田聖子幹事長代行で63票(国会議員票34票、党員票29票)。

いずれの候補も過半数に達しなかったため、上位2人による決選投票となり、岸田候補は257票(国会議員票249票、都道府県票8票)、河野候補は170票(国会議員票131票、都道府県票39票)で、岸田候補が自民党総裁に選出された。

マスコミ等の事前予想では、第一回投票でトップになるとみられた河野候補は、番狂わせの2位となった。1位は岸田候補であり、その勢いで決選投票は河野氏に大勝した。

当初、第一回投票でトップが伝えられた河野候補は、地方党員の得票の6割をとれば議員票も大きく流れ、決選投票に持ち込むことなく勝利を予測していた。ところが党員票は44%と伸び悩んだ。それどころか議員票では岸田候補、高市候補に大きく差をあけられた。

高市候補は、財政におけるプライマリーバランスの凍結を主張しており、財政規律を重視する河野候補と政策的に激しく対立していた。

河野氏が議員票で高市候補に敗北したということは、新政権において緊縮路線の後退となりうる。

 

◆双方向の「オンライン政策討論」で、自民党も活性化 

河野候補は菅義偉首相の支持を受け、石破茂元幹事長や小泉進次郎環境相とも連携し、知名度の高さを武器に支持拡大を図った。河野陣営は、人気が高い石破茂元幹事長や小泉進次郎環境相の支援を受けて党員票を集め、「選挙の顔」を求める議員心理に訴える戦略を描いていた。

じっさい衆院選を直前に控える中で、選挙基盤が脆弱な若手議員からの支持も、当初は高かった。

河野候補は告示前までは有利に戦いを進めたが、選挙戦中盤に行われた自民党主催の4日間連続「オンライン討論会」やテレビの候補者討論会で、脅威を増す中国への対応、最低保障年金構想、エネルギー政策などで、河野候補からは失言や前言訂正が続出した。

投票日に投票した国会議員は、河野候補の支持から潮が引くように他の候補へと流れた。

新型コロナで各地の街頭演説会は、今回はなかった。従来は各地で街頭演説会を行っていたが、それは候補者側からの主張の一方通行だった。

今年の自民党の「オンライン討論会」では、3歳くらいの子供さんから大人まで、海外からも多数が参加した。そして4候補は多岐にわたる質問に対して回答した。4候補は、ほぼ2時間出ずっぱりであった。

各候補は、オンラインで政策論争を展開した。双方向の「オンライン討論会」は自民党を活性化させた。

 

◆菅おろしの当選3回以下の議員が、今度は河野太郎ばなれ

河野候補にとって致命的であったのが、選挙中盤の9月21日、衆院当選3回以下の自民党議員でつくる「党風一新の会」との意見交換会で語ったことである。

「(党の)部会でギャーギャー言っているよりも副大臣、政務官チームを半ば非公式に作ったらどうか」と発言した。これが若手議員の猛反発を招いた。

 菅義偉首相では選挙を戦えないとして、菅おろしに走った若手議員が、この討論会で河野候補に不安を覚えたのである。

 「党風一新の会」には、たしかに選挙に弱い議員が多いが、岸田支持も高市支持の議員も多い。メディアで報道されたような河野候補支持ではなかった。

自民党政策調査会の各部会で論議しないとなると、大臣、副大臣、政務官として政府に入った者以外は、政策論議に加わることが出来ない。

かつて民主党政権で、小沢一郎幹事長(当時)が「政権を守ることが議員の任務」と民主党の政策審議会を廃止したことと同じである。要するに党内論議の否定である。

この高圧的・権力的な姿勢は、河野陣営に多く見られた。

選挙戦でBS番組の政策討論で高市候補が、政府のエネルギー基本計画(中間報告)は、最終決定に向けて大幅修正・見直すべきと発言した。

これに環境大臣の小泉進次郎が、9月17日の閣議後会見で「再エネ最優先の方向性をひっくり返すということがあるなら、間違いなく全力で戦っていかなければならない」と発言し、「原発派と再エネ派の二者択一の戦いだ」と反発した。

この「全力で戦う」と言い切った小泉発言に対し、自民党総合エネルギー戦略調査会の会長代理の山本拓議員は「閣議後の会見という公式の場において、権力を笠に着て自民党総裁選に介入し、高市候補をおとしめる発言をした」と憤り、環境省に公開質問状まで送ったそうだ。

さらに山本議員は、高市氏が再生可能エネルギーに反対していないと強調したうえで「原発か、再エネかと二者択一かのような争点に誘導する、間違った悪意ある意図を環境大臣として発言しているのは、役所を私物化しているとしか思えない」厳しく小泉環境大臣を批判した。

ちなみに山本議員は、高市候補の元夫であったという。

 

◆太陽光など再生エネルギー推進派は、冷静な議論を受け付けない

 小泉新次郎にとって環境政策とは、再エネを口実に、太陽光パネルを農地や斜面にも敷き詰めて、環境破壊を行うことではないのか。

しかも河野太郎のファミリー企業が、太陽光発電のコネクターの製造などを通じて、中国企業と合弁会社を設立していることなどが露見した。

政策を通じて、再エネ・太陽光推進・脱原発の高圧的な強要は、太陽光など再生エネルギー推進派の利益誘導にもなりかねない。

菅義偉首相は2020年10月26日の所信表明演説で「自然エネルギー電力目標を 45%程度に引き上げ、全ての石炭火力発電をフェーズアウトすることが必要」と演説したが、その菅義偉は首相を退いた。そして小此木八郎氏は横浜市長選に敗北、河野太郎も総裁選に大敗した。彼らにとって「冷静な議論」は、有害無益なのであろう。

再エネ狂奏の神奈川グレタ隊‼ は座礁を余儀なくされた。

 

◆政策討論の後の党員投票ならば、投票行動は変わった 

メディアの世論調査で次期総裁にふさわしい人物として河野氏がトップだったが、新型コロナウイルスの問題や、緊迫度を増す北朝鮮情勢、さらには、河野氏の関心の高いエネルギー政策など、課題は山積している。

党員への投票用紙は、告示日に送付された。党員から早く返信された投票には、各種討論会の河野候補のボロが露見する前のものが多かったという。

党員票のトップは河野候補。投票総数の約44%にあたる約33万5千票、37都道府県でトップだったが、国会議員票で岸田候補や高市候補と大差をつけられた。

選挙期間中の政策討論を終えた後の党員投票ならば、おそらく党員の多くが投票行動を変えたであろう。

党員への投票用紙の送付が、主要な政策討論の後であれば、党員投票の結果も、国会議員票に近かったのではないだろうか。

党員票と国会議員票のねじれは、投函・投票した期日の差によるものであり、河野候補の正体がわかった前の投票か、その後の投票かではないだろうか。(敬称略)