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【論説】安倍前首相にとっても政治生命を賭けた戦い

※安倍晋三氏(首相当時)

 

安倍晋三前首相が、自民党総裁選に立候補した高市早苗氏(60)への応援を本格化させている。

 

菅義偉首相の不出馬によって、当初は20人の推薦人集めにも苦労している無派閥の高市氏に対し、世話役を務める程度の感覚だったようである。元は同じ清和政策研究会(現細田派)でもあり、第1次安倍内閣では少子化担当相を、第2次安倍内閣以降では総務相として入閣させた将来を期待する後継候補として、親代わりのような立場だったといえる。

 

しかし、4候補が出揃い、それぞれの政策の違いが浮き彫りになる中で、河野太郎氏(58)や岸田文雄氏(64)では、自身が7年8か月に渡って進めてきたアベノミクスや外交政策が覆されかねないという危機感を抱いたようである。とりわけ、河野氏が主張する社会保障の充実化や消費大増税、曖昧な防衛・外交路線に危険性を感じると共に、岸田氏に対しても「私には聴く耳がある」と強調し疑問符がつく実行力や二階派を始めとする敵対勢力の多さ、国民からの支持の少なさなどに懸念を抱いているのではないだろうか。

 

安倍氏が政治家人生をかけて取り組んできた拉致問題や憲法改正への本気度を見ても、高市氏とその他3氏では明らかに開きがあり、もはや岸田氏への遠慮や河野氏への期待などと悠長な視点で傍観者を気取っていられないという焦りが生じたに違いない。ニュートラルに近かったギアをトップギアに変え、安倍氏自ら各議員に電話で支持を訴える熱量だという。

 

投開票を3日前に控えた9月26日の段階で高市氏の下馬評は河野・岸田に続く3位で、議員票では少しずつ岸田氏に迫っているとみられる。とはいえ、態度を表明していない議員が圧倒的に多いので、高市氏が2回目の決選投票にまで進めば、大逆転は決してあり得ないシナリオではない。

 

4氏が立った時点で1回目で過半数を制する候補はいなくなったと考えていい。2回目に進むことが確実視されるのは、国民に近い40万人の党員にも、国会議員にも一定の支持を集める河野氏だ。とくに、党員票では、小泉進次郎氏や石破茂氏が支援していることも追い風になる。

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