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「危機にある日本の為に高市早苗総理誕生を切望する」 西村眞悟

 冒頭にドイツの法学者イエーリングが著書「権利のための闘争」に記した次の警告を掲げたい。

「隣国によって一平方マイルの領土を奪われながら、膺懲の挙に出ない国は、その他の領土をも奪われてゆき、ついに領土を全く失って国家として存立することをやめてしまうであろう。

そんな国民は、このような運命にしか値しないのだ。」

 今まさに、実質的に我が国の総理大臣を決める自民党の総裁選挙が行われている。そこで、このイエーリングの警告を念頭において、我が国の現状を見つめたい。

 現在、我が国は、領土(竹島)は韓国に奪われ、無辜の多数の国民は北朝鮮に拉致され、北方領土(国後、択捉、歯舞、色丹)はロシアに奪われたままである。さらに、南の尖閣諸島が、まさに中共に奪われようとしている。しかし、我が国は、これら韓国、北朝鮮、ロシア、中共に、巨額なカネは渡したが、何ら膺懲の挙にでたことはない。

特に南の尖閣諸島は、我が国の存立がかかる戦略的要衝である。しかし、我が国は、中共が、自らの固有の領土という明らかな嘘を繰り返しながら、只今現在、公然と、武装した「公船」を連日領海に侵入させているのに、何らその領海を侵犯している中共の「公船」を実力で排除する挙にでない。この中共の領海侵犯を我が国がこれ以上傍観すれば、我が国が、中共による尖閣諸島の実効支配を認めることになる。つまり、尖閣諸島における我が国の傍観(不作為)は、尖閣諸島を中共に与える結果をもたらす。

では、中共が尖閣を奪えばどうなるのか。中共は、直ちに、尖閣の魚釣島にミサイル基地と潜水艦基地と軍港を造り一挙に軍事要塞にする。そして、それを橋頭堡にして、南西の台湾と北東の沖縄本島を掌中に入れるであろう。こうなれば、東シナ海と南シナ海を通って我が国に至るシーレーンは、完全に中共に握られる。この状態は、我が国にとって、まさに亡国である。即ち、七十六年前の大東亜戦争に敗北した状況の再現ではないか。つまり、冒頭に述べたイエーリングの警告が尖閣で的中する。大東亜戦争における我が国の敗北は、シーレーンを扼されたことによってもたらされたことを忘れてはならない。

従って、只今現在、我が国の総理大臣たらんとする者は、尖閣諸島を中共が奪えば、台湾と日本が存立の危機に陥ることを自覚した上で、相手の中共が軍事力で奪いに来る以上、断固として軍事力を以て尖閣を守り日本を守る強固な意思を有し、且つそれを表明する者でなければならない。今、総裁候補として、相変わらずの男が雁首を並べているが、誰が国家と国民の断固たる防衛を表明しておるのか?

そこで言う。戦後体制とは日本国憲法体制であり、その日本国憲法には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、わららの安全と生存を保持しようと決意した」(前文)とあり、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」(九条二項)というように非常識で非現実的で無茶苦茶なことが書かれている。従って、我が国を取り巻く内外の情勢が、まことに厳しい現在、我が国の総理たらんとする者は、此の「憲法と題する文書」に従えば国が滅びるのであるから、この「憲法と題する文書」を超克する意思を持つか否か、明確にしなければならない。

この観点から、明確に論じているのは高市早苗君だけだ。つまり、「日本人の手による新しい憲法を制定する」と。他の面々は、安倍晋三君以来の改正論の次元かそれ以下であろう。つまり、憲法九条に、第三項を加えて、そこに自衛隊を明記するという「改正論」である。しかし、「陸海空軍はこれを保持しない。交戦権はこれを認めない」と明記している九条二項の次に三項を加えて自衛隊を書き入れれば、自衛隊は軍隊ではなく交戦権を行使できないことになるではないか。本気で、尖閣を守り、国家を守り、北朝鮮に拉致された国民同胞を取り戻す意思があるのか。阿呆も休み休み言え。こういう「改正論」を唱える者は、総理大臣として靖國神社に参拝できない。安倍晋三君が、身を以てこれを立証している。

ここで、救国の法的真実を記しておく。それは「日本国憲法」は無効であり、我が国はイギリスと同様の、歴史と伝統のなかにある「不文の憲法」を有する国だということだ。地球は平らだと思っている面々に、地球は丸いと言えば驚く。しかし、いくら驚いても、地球は丸く、「日本国憲法」は無効だ。

安倍総理は、政権に復帰して初めて迎える平成二十五年四月二十八日に、内閣主催のもと、憲政記念館に天皇皇后両陛下の御臨席を頂き、「主権回復を祝う会」を開催した。即ち、ここで安倍内閣は、日本と連合国とのサンフランシスコ講和条約発効により、昭和二十七年四月二十八日午前零時に、日本に主権が回復したことを祝ったのだ。ここにおいて、まさに明らかに確認されたことは、我が国が連合国に降伏した昭和二十年九月二日から講和条約発効までの間は、我が国には主権が無かったということである。よって、我が国に主権がないときに我が国の憲法は制定できない。従って、我が国が法治国家である以上、我が国に主権が無い昭和二十一年二月に、連合軍総司令部GHQ民政局の二十五名のスタッフが九日間で起草して、同年十一月三日公布され、翌二十二年五月三日に施行された「日本国憲法と題する文書」は我が国の憲法ではない。この結論に至る「主権回復を祝う会」の開催こそ、安倍内閣最大の功績である。

同時に、安倍内閣が掲げた「日本を取り戻す」とか「戦後体制からの脱却」というスローガンの具体的内容が明らかになる。「日本を取り戻す」とは、我が国が主権を奪われていた占領中に、奪われたものを回復し、押しつけられたものを廃棄することである。奪われたものは大日本帝国憲法、旧皇室典範、帝国陸海軍等々、押しつけられたものは、「日本国憲法」と題された文書等々である。

また、高市早苗君のみが、総理大臣として靖國神社に参拝すると明言し、他の御仁は参拝しないようだ。

靖國神社が我が国にとって如何に重要であるか。これが分からない者を、総理にしてはダメだ。

アメリカのアーリントン墓地は、アメリカの国立墓地であり、「アメリカの理想と自由」の為に命を捧げた人々を偲ぶ「至高の聖地」であるならば、我が国の靖國神社は、神武天皇御創業以来、万世一系の天皇を戴いて今日に至る日本を守るために命を捧げた英霊を祀る「至高の聖地」である。

アーリントン墓地に参ることができない者を、アメリカ国民が大統領に選ぶ事態になれば、これはアメリカの危機であろう。同様に、靖國神社に参拝できない者が、歴代総理大臣である日本の現状は、既に危機である。自覚のない危機が真の危機なのだ。

振り返れば、自民党が与党に復帰するために、こともあろうに!社会党の村山富市を総理にして自社連立内閣を誕生させたことがあった。この時、村山富市は「戦後五十年謝罪総理大臣談話」を発出し、衆参両議院にも「戦後五十年謝罪決議」が上程された。安倍晋三君や石破茂君等々は、この謝罪決議に当然の如く賛同した。しかし、高市早苗君は、謝罪決議に断固反対して、それを阻止しようとした。彼女と同じく阻止しようとした者として、これを明記しておく。

イスラエル建国の女闘士であったゴルダ・メイア首相は、一九七二年九月のミュンヘンオリンピックに際し、パレスチナ武装組織ブラック・セプテンバー(黒い九月)がイスラエル選手とコーチ十一人を殺害した時、報復のために全テロリストを殺害する決断をして断固として「神の怒り作戦」を発動する。

イギリスのマーガレット・サッチャー首相は、一九八二年三月、アルゼンチンがイギリス領フォークランド諸島を軍事占領したとき、アルゼンチンとの戦争を決意し、空母二隻を中核とする機動部隊を編成し、陸海空軍将兵二万四千三百名をフォークランドに派遣する。

この二人のイスラエルとイギリスの首相は、決断を実行するに際、共にためらう者のいる閣議において、毅然として「我が内閣に男はいないのか?!」と発言したと聞いている。

高市早苗君も、戦後体制に安住する面々のなかにおいて、「我が内閣に男はいないのか!」と発言して尖閣を守り大陸の敵基地を撃破する胆力を持つ者である。